ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「グッバイ・シングル」

グッバイ・シングル」観ました。
f:id:watanabeseijin:20180418204649j:image

韓国。トップ女優ジュヨン。

実力派俳優としての評価はありつつも、常に誰かと浮名を流し。如何せんお騒がせ女優枠の彼女。けれど。

いつまでもそのままでは居られない。何しろ彼女、御年39歳。

徐々に人気も低迷。加えてゴールインすると過信していた19歳の彼氏(‼)に浮気され。崖っぷち。

そこで彼女の下した決断「私だけの味方が欲しい!」「私、母になる!」

生涯の味方が欲しいと。呆れる周囲の声を振り切り、単身知り合いの産婦人科を受診。そこで告げられる、悲しい事実。

その帰り。エレベーターでたまたま居合わせた女子中学生タンジ。

望まぬ妊娠をしてしまい。けれど…堕胎に揺れるタンジと知り合ったジュヨンの選択。

「その子供。私が育てるわ」

タンジと金銭で合意。そして「胎教の為には声を聴かせてあげて」とタンジが望んだ事で。大女優と女子中学生の同居生活が始まった。

 

この作品の最大級の魅力。主人公ジュヨンを演じたキム・ヘス

当方は恥ずかしながら未見ですが『10人の泥棒たち』で有名。そして彼女を称する『韓国映画界随一の美魔女』というフレーズ。

「??」と思い、調べましたが…『キム・ヘス47歳』のプロフィールに瞳孔が開いた当方。ホンマに?ホンマにあのボディ?47歳で?

 

「乳は正義」「まっこと憎たらしい乳よ(まさかの土佐弁)」もう…乳派の当方が涙目無言でうんうんと頷いてしまう、そんな巨乳。そして絵にかいたような『ボン・キュッツ・ボン』なナイスバディ。

自宅でのくつろぐTシャツ姿も愛らしいけれど、『THE大女優』然としたフォルムの彼女の貫禄。あんな派手な衣装に全く負けない、そんな迫力。

 

体の話が先行しましたが。実際に『ベテラン手練れ俳優』であるキム・ヘスの超安定感のある演技。もう余裕すら感じる『落ち目になありつつある大女優』。楽しすぎて。

 

主人公ジュヨン。実力派俳優であるけれど。性格はおバカでお調子者。そして…真っすぐな人物。憎めない。

 

「私の生涯の味方が欲しい」そうやって産婦人科に受診。たまたま出会った女子中学生と「子供が生まれたら私が育てる」と大金払って勝手に里親契約。

「いやいや子供ってそういうもんじゃないし」「お前靴を買う感覚で言ってるだろ」所属事務所の面々は散々振り回され。

 

未成年。望まない妊娠。子供を金で買う。シングルマザー。社会の支援。結構シビアな題材を扱っているのに。終始ワクワクしながら楽しく観ていられるのは、ひとえに主人公ジュヨンの明るさ、真っすぐさ故。

 

作中。妊娠した女子中学生タンジに対して、やっぱり「若いのに」「恥ずかしくないの」という声が上がっているシーン、ありましたが。「何が恥ずかしいのよ!」「ただ早熟だっただけよ!」委縮して泣くタンジの肩を抱いてはっきり声を上げるジョユン。素晴らしい。

(そして案の定、そういう事を言うのが同性…同じ中学生の母親とかなんですね。じゃああんたは何をして子供を産んだんだ。頭固いな)

 

タンジ。絵を描く事が好きで『全国絵画コンクール』に推薦される実力の持ち主。

妊娠が分かって。けれど相手はきちんと向き合ってくれなくて。

堕胎のリミットだと、意を決して訪れた産婦人科。怖い。そんな時出会った大女優。

「中絶なんて駄目よ。産んだらいいじゃない。私が育てるから」

姉と二人暮らしだけれど。貧しくて。しかも姉は出来立ての彼氏に夢中。家にも居場所が無くて。そんな時に現れた金づる。

「このお金で高校に行きたい」(切ない…)

 

 

互いに利害関係を有したきっかけ。けれど、一緒に暮らすうちに芽生えてくる信頼関係。

 

「でもそれで一気にゴールには向かわないんよな」

 

『独身スター俳優、妊娠』かつての恋人(19歳)に当て付ける為の発表。勿論世間は大騒ぎ。

 

初めこそ大慌てした所属事務所(また、所属タレントは彼女一人?という小さなプロダクション)。けれど。その発表を受け。まさかの『妊婦枠』で新しいオファー殺到。起死回生がやってきた。浮かれるジュヨンと所属事務所の面々。

 

けれど。皮肉にもジュヨンが忙しくなる事で、次第にタンジと距離が出ててしまう。

 

ジュヨンの幼馴染で専属スタイリスト。ピョング。
f:id:watanabeseijin:20180419235116j:image

「マ・ドンソク‼」去年の『新感染』の記憶も新しい、「あの腕にガムテープ巻いて。素手でゾンビに立ち向かった漢な‼!」ムキムキマッチョのボディを今回も余す事無く見せながらも。『NY帰りの敏腕スタイリスト』という何の説得力も無い役を。可愛く演じておられました。

(とは言え。毎度『主人公喰い』のインパクトを誇ったマブリー兄さんも。今回は流石に主人公キム・ヘスが強い。きちんと脇役に徹しておられました)

子沢山のお父さんという側面も持つピョング。破天荒なジュヨンを支えながらも、きちんと『ひとりぼっちになりそうな女子中学生妊婦』にも気を使える。

「これ。大体のサイズで作った」女子中学生に送った『マタニティドレス』当方の中の女子が悶死した瞬間。

 

ちょっと真面目に。韓国の事情は分かりませんが。

「例えば。日本で学生が妊娠したら」「即退学or堕胎の流れ」「何故かというと…妊娠した者が親になれない事が多いからだ」

でも…少子高齢化が叫ばれる昨今。どうして子供は生まれないのか。

一概にこれ!とは言えず。とは言え当方も「一族の末裔」となりそうな塩梅なので…もごもごしてしまいますが。

 

「無理矢理伴侶を得て。子孫繁栄を望む時代では無くなった」という事なのか。自由恋愛思想のなれの果てか。

愛し愛されて。その相手と生涯を共にする。そしてそんな相手との間に生まれた子供を大切に育てる。その思想、全面支持しますが…けれど「それ‼どうしても‼何が何でも得たい!!」とは思わない。

自分の人生。その満たされるポイントは各人違う。万が一人様から見て『一生一人で暮らしましたとさ』となったとしても、自身が満足しているのならば構わない。幸せのバロメーターの多様化。

『誰かとつがいになり。そして子孫を残す』という事が決して幸せの全てでは無い。

 

…と思う反面。『誰かとつがいになり。そして子孫を残す』という思想を決して否定している訳ではない。

そして。もし目の前で『若さゆえ』数多ある可能性が捨てられる状態を見たとしたら…。

 

「子供が出来たから諦めないといけない」大人だって、そういう側面はありますが。

ましてやこの作品では中学生。彼女が出産を決意する事に依って諦めないといけない事、覚悟しないといけない事は余りに多く。そして相手の男子学生には余りに少ない。

そんな中で。確実な金銭的優遇者のフォローアップ。頼もしすぎる。

 

「決して安易な性交渉とか避妊しろ云々とか。そんな説教臭い事は言ってない。ただ…社会が…こうやってあっけらかんと包んでくれたら随分救われる者もいるだろう」

 

こんな深読みも出来るのに。本編はあくまでも突き抜けた陽気さ。素晴らしい。

 

「セレブな時。全然地に足ついていなかったジュヨンが。最後愛し愛される仲間に囲まれて『誰も強制されていない』食卓をワイワイ囲んでいる姿」「そして可愛い『韓国一誠実な男性」
f:id:watanabeseijin:20180419235037j:image

最終。染々。「この子は良い子に育つよ」

こんなに皆に愛されているんやから。

 

最後の最後まで。全部ひっくるめて好き。そんな可愛くて面白くて…実は深い…。

 

ああ。また。韓国映画のノンジャンル感。果てしないです。
f:id:watanabeseijin:20180419235024j:image