ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「悪女 AKUJO」

「悪女 AKUJO」観ました。
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やりすぎ韓国映画枠。『殺人の告白』のチョン・ビョンギル監督最新作。

 

「アクションが‼」「兎に角アクションが‼」人間の成せる技では無いと。そんな前評判を受け。期待に胸をパンパンに膨らませて。劇場に観に行きました。

 

感想ですか?「これ…どうやって」の連発。撮り方。そして人体のポテンシャル。そういった振り幅が広すぎて。もう何が何だか。どうしようもなくて最後は笑うしかなくなった当方。

 

冒頭7分強のPOV。女主人公スクヒ視点の暴力団カチコミシーン。暗い廊下で。そしてエアロビみたいなスタジオで。襲い掛かってくる膨大な相手の動きは縦横無尽。始めこそ銃で撃っていたけれど。次第に刃物。手斧。そして最後には体一つで。ただただ圧倒され。

ただ。その鏡張りのスタジオで。己の姿が写った途端反転する世界。一人称の世界から第三者世界へ。カメラの視点移動から始まる物語。上手いなあと思いました。

 

女一人で暴力団組織を一網打尽。当然国家権力に逮捕。しかし彼女は裁かれず。整形され、秘密裏に国家情報院に送られ。そこで暗殺員に育てられる。

当然反抗するスクヒ。しかし彼女のお腹には子供が…。

「黙って10年任務を遂行すれば、後は一般人として生きていける」その言葉につられ。

 

国家情報院修行。そして娑婆へ。そこで得た、ささやかな幸せ。

「幸せになれる」そう信じたのもつかの間。

 

とある国家情報インからのミッション。それはかつてスクヒが愛した男を殺せという指令だった。

 

お話としては単純なんですよ。「女子は惚れたらあかんのう…」というどこかの田舎お婆ちゃん当方。如何なる身体能力やヒットマン要素を高めようと、惚れた者の負け。

「そんな実態の無い者じゃなくて、目の前の善き人を信じなさい」そう呟くばかり。

 

あのカチコミのあった雨の夜。私は死んだ。生きている意味なんて無い。なのに。

 

生き残ってしまった。しかもお腹には愛した人の子供がいる。

 

愛する子供の為。娘と一緒に平凡に暮らしていく為…。

 

~とかいうしんみりで語るには、スクヒの能力、高過ぎなんですよ!

 

「ああもう。一体どうやっているんですか?」役者。スタッフ。乗り物。カメラ。全方位に渡っての当方の悲鳴にも似たコール。勿論レスポンスなし。

 

大型バイクで全力走行中。サイドから同じくバイクで囲まれ。しかもサイドから日本刀?(兎に角刃渡りの長い刃物)で襲われるスクヒ。

 

ざっと飛びますが。後半。走行中の車のボンネットに手斧を食い込ませて落ちないようにしながら(文章だけでは意味不明だと思います)後ろ手でハンドルをさばくスクヒ。

 

もう…何というか…あまりにもぶっ飛びすぎて…笑うしかなくなった当方。

 

「ペーパードライバーで。原付バイクしか自信を持って運転出来ない当方からしたら。こんなの…死ぬとしか思えん。」

(この作品に限りませんが。当方の人生に、もしその辺に泊まってる車を拝借するシーンがあったとしたら「まずはシートをブレーキを踏んだ距離にセットして。バックミラーをセットして…」即座に標的を見失うOr襲撃されますね)

 

ここまで殺人能力ポテンシャルが高いスクヒ。

しかしそれは国家情報院の付け焼刃では無い。一体彼女は何者なのか。

 

幼い時。父親を殺された。

殺したのは父親の弟。そう思って。彼を憎む事で生きてきた。

 

父親を失った後、育ててくれたジュンサン。当然…と言うべきか、カタギでは無かったけれど。彼には多くを教わった。身体能力の向上。暴漢との戦い方。殺しの技術。…そして彼を愛するという事。なのに。

思いが通じて。愛し合って。晴れて結婚。そして新婚旅行の最中。敵対勢力に命を奪われたジュンサン。

 

そして、冒頭のカチコミシーンに繋がるのですが。

 

物語を進めるにつれ。「スクヒの過去」が少しずつ明かされていく仕組み。まあ…(歯切れが悪く)雑…なんですがね。

 

「結局ジュンサンの立ち位置って何だったんですか」「なだぎ武ですか」「そもそもどうなったらジュンサンはスクヒの育ての親になるんですか。どういう関係ですか」「彼とスクヒの父親、その弟との関係性は」「あのガラス玉って一体何だったんですか」「HDDには何が収められていたんですか」

「あの劇団の母体は何なんですか」「劇団員で食べていけるんですか」「何なんですか。このベッタベタなラブパートの切なさは」「おっと犬死ですか」

 「国家情報院の目的って何だったんですか」「どの組織に於いても、一体何に忠誠を示して、何を敵とする組織だったんですか」

 

~挙手して質問し出したらもう止められない。おかしな点は数多にありますが。

 

「まあいいんじゃないの。あんなの(アクション)見せてくれてんだから‼」

 

げに恐ろしき、そして愛するべきロシア映画ガーディアンズ』論法。

 

「こういう作品、沢山観てきただろ。その脳内引き出しで補てんしな!じゃあ、観たいやつ行くぜ!!」という強気。…でも得てして…そういうのに皆様(当方も)弱いんですよね。

 

最終決戦の下り。もう笑うしかなくて。

 

「やりすぎ。完全にやりすぎ韓国映画枠。」

 

もうねえ~多少お話がおかしくても憎めないし、目が離せない。

 

万人にはお薦めできないのかもしれませんが。スカッとしたい方には取りあえずお薦めしたい。…なんだか観た後はやたらしっかりご飯を食べて。泥のように眠れそうです。
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