映画部活動報告「アトミック・ブロンド」
「アトミック・ブロンド」観ました。
1989年。東西冷戦末期のベルリン。所謂『ベルリンの壁崩壊』寸前。混沌としたその都市で。世界を揺るがしかねない重要機密が記されたリストが奪われる。
イギリス秘密情報部(MI6)のエージェント、ロレーンは現地で潜入中のデイヴィットとタッグを組んでのリストを奪還を命じられるが。
「シャーリーズ・セロン劇場」
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の記憶も新しい。素の彼女の凛とした佇まい、彼女にまつわるエピソードからも「強い女性」と認識される女優。シャーリーズ・セロン。
今回は特にそこを強調。ひたすら強く、そしてとびっきりのアクション。兎に角硬派に硬派に仕上げた、最早「姐さん」ではなく「アニキ」感漂うシャーリーズ・セロン劇場でした。
…でした。で終わりたい。そう思う当方ですが。…なんだか。なんだかしっくりこなくて。と言うのも。
(小声)「アニキなシャーリーズ・セロンのとびっきりのキレキレアクション!…しか無かったよな…と言うか、もしシャーリーズ・セロンが主人公じゃ無かったら、一体主人公が女性である意味ってなんやろう?」
勿論、「女スパイものなんだから色仕掛けしろよ」とかのナンセンスな意見ではありません。
「硬派な一匹狼。誰の事も信じない、唯一信じるのは己の腕」「誰にも媚びない」これって正直…非常に既視感のあるハードボイルドの主人公像で。
散々見た事のあるキャラクターを、シャーリーズ・セロンが演じる理由。
それは「そんなハードボイルド主人公を女性で出来るのはシャーリーズ・セロンだけだぜ!」という。彼女のポテンシャルのみ。
「いや。それでええやん。と言うかそれが見どころの映画やん」…そうなんですがね。
「お話しの持って行き方。進め方がもっさりしすぎかと」歯切れ悪くもそもそ言う当方。
某取り調べ室にて。MI6主任とアメリカ中央情報局(CIA)の主任の前で。「ベルリンで何があったのか」という問いに対し「ベルリンで起きた事」をロレーンが語りだすという振り返りスタイルで進行。
「誰も信じるな」それを信条として渡ったベルリンの地。合流したデヴィット(ジェームズ・マカヴォイ)のうさん臭さ。凄腕なんだろうけれど…敵なのか味方なのか。全く分からない。そしてひっそり近寄ってくるフランス人女性、デルフィーヌ。(ソフィア・ブテラ)
「マカヴォイ!最近ではスプリットの多重人格者が記憶に新しい。そしてキングスマンの危ない足の持ち主ソフィア!」高まる当方。
マカヴォイの手練れ役者っぷりに痺れ。そして恋する女子を演じたソフィアに「もう一つ捻るかと思ったけれど。意外と直球」と驚いて。
紛失したリストの内容。端的に言えば「世界のスパイ名簿」。
「このリストが紛失したのには、二重スパイの関与が考えられる」舞台はベルリンだけれど。どこかの国のスパイの。誰かが裏切った。
ベルリンにあったそのリストを。誰かが誰かと手を組んで。誰かを使って奪った。
そんなリストが流失したら…慌てふためく各国の秘密組織達。けれど。
手元にあれば安心なそのリストを手に入れるには、一体誰を出し抜けばいいのか。誰かの手にあれば脅威。でも。
…己の手元にあれば世界のスパイを牛耳れる。そんな魅力的なリストが。
「二重スパイ『サッチェル』。その正体は現在は不明だけれど。そいつを仕留めて来い」
ロートンがベルリンに渡った理由。「リストの奪還」のほかに「サッチェルの解明と暗殺」
まあ。それももっさりと解決してましたが。当方は「もう別にどうでもいいよ」という投げやりな感想。(ああいうのは何とでもこじつけられるんで)
流石にアクションはキレキレ。「これ結構な長尺。で、吹替…していなさそう。凄いなあ~」「だんだん互いに疲れてきて。でもそれでも延々やり合うファイティング」至る所から敵は現れて。それに太刀打ちするシャーリーズ・セロン。逞しい。けれど。
昔呼んだ、恩田陸の小説で。とある登場人物の「ハードボイルドの内容って100文字位で言えるわ。」からの「昔は腕を鳴らしたけれど、今は殆ど隠居状態。どうしようもない理由で無理やり現場復帰。俺強いんだぜえ~。女にモテるんだぜえ~。セックスもつよいんだぜえ~。そして女との悲しい別れ。そして一人で立ち向かう…」(こういう感じの事を言ってましたが、完全に言い回しうろ覚え。)を思い出す当方。
「シャーリーズ・セロン劇場は結構。でも…出来れはアクションだけじゃなくてお話しもクールでスタイリッシュであって欲しい」「そして似合う髪型をして欲しい」
「一体何様だ!」多くの民の立ち上がる声が聞こえてきそうですが。
取りあえず、間違っても続編及びシリーズ化はしないで欲しいと(しなさそうですが)切に祈るばかりです。