ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)」

猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)」観ました。


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新しい猿の惑星シリーズ三部作。『創世記』『新世紀』に継ぐ最終章。『聖戦記』。

ずっと公開初日鑑賞で追っていました。

猿の惑星創始者であるチンパンジー、伝説の『シーザー』の生き様を軸に。

「かつては人類の科学実験から産まれた」「人類との決別」「共存は出来ない。悲しい別れ」「秩序が生れた、猿たちの世界」そして今作。「そして猿の惑星になる」。

 

「何故当方は旧作からの全8作品をおさらいしなかったのか!少なくとも前作『新世紀』から3年あったのに!愚かな!」己を厳しく叱咤する当方。せめて。せめて旧作5作は観るべきだろうと。

 

現在の職業に就いて早十何年。今とは違う職場で違う部署で働いていた時。三交代で働いていた当方は、深夜も過ぎた丑三つ時にタクシーで帰宅する事もしばしば。

さっきまで働いていた頭は中々睡眠モードには入らず。そんな深夜。テレビを付けるとやっていた古い映画。
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シリーズ最初の『猿の惑星』公開が1968年。以降、合わせて5作の猿の惑星シリーズ発表時は勿論生を受けておりませんでしたし、後付けでそうやって夜中の映画ショー等でちらちら見た程度。(2001年版は観ていません)なので「大体こういう感じの~」としか語れなくて。と言うか語る資格もなく。

 

なので。2011年に新しく誕生した猿の惑星シリーズが「1968年の猿の惑星に繋がる作品シリーズ」だとは正直忘れていました。(迂闊)

 

なので。今回お話しが進む中で。「あれ…これ…」と。ふっと脳内を過る、荒い映像に「ばかばかばか」ともどかしくなるばかり。(具体的には…ノバとか。コーネリアスの名前とか。あのラストの地とか…)でも。

その。荒い映像の中で。幾度か語られた伝説の創始者『シーザー』。

 

この三部作の主人公であり…最早神話レベルのキャラクター。

 

「圧倒的なリーダーであり、指導者。人類など太刀打ち出来ない男前さよ」

 

産まれたばかりのあどけなかった時など何時の事やら。すっかり眉間に皺を寄せまくった、貫禄ある渋いボス猿に進化していました。

 

科学の力で異常な進化を遂げたシーザーと猿達。彼らは人間と決別し、ひっそり森の中で暮らしていた。そして。やっと安住の地を見つけたと喜び。明日には移動しようと語らい。

なのに。打ち破られた静寂。猿憎し、駆遂すべしと襲ってくる人間達。

 

冷酷非道な大佐の夜の奇襲に依って、襲われた猿たちの集落。愛する家族を失ったシーザー。怒り。

 

群れの皆は安全な場所に移動せよと。しかし、自分の家族を奪った人間は許さない、復讐に向かうと踵を返すシーザー。

 

この作品に於ける大きなテーマとしてあったのだろうと当方が思う事「憎しみは何も産み出さない」

 

まだ公開してあまり日にちも経っていませんし、あれこれネタバレするべきではないと思いますので。此処からはふんわりとしていきますが。

 

(一つだけ。気になった事。黄色い字幕って珍しいなあ~と思った当方。余談ですが。)

 

今作。家族を奪われたシーザーの原動力は『憎しみ』でも。彼は群れを率いるリーダーであって。

前作の『新世紀』。途中からアウトレイジ化した理由。「コバ」

シーザーと初めは心を通わせたチンパンジー。でも彼は人間に虐待された過去を持っていて。その憎悪は計り知れず。その感情故の行動は、猿も人間も後戻り出来ない所に連れて行ってしまった。

 

何度か。「俺のやっている事は何だ」と立ち止まるシーザー。今守るべきものは何か。愛する者は何か。これはコバと同じでは無いかと。

 

「まあでも。そこで緩急つけずに繰り出してくる、大佐の『非人道的処置』」ところがとろが。

 

「大佐が完全な悪役だったら。いっそ憎みきれたら…」切なくなる当方。「そうか。ここは猿の惑星になるんだな」

 

旧シリーズで。地球は猿の惑星と化し。人類と思わしき者達は…確かにああいう風になっていた。(ロボトミー手術ってなんでしたっけ?『カッコーの巣の上で』とはまた別だったと思うんですが…)切ない。

 

「切ないいいいいい」そうなると。ノバのあの華憐な姿。ああやって幸せになれた人類と、目一杯足掻いた大佐と。その人類の末路の比較が。

 

正直。痛々しいなあと思う所もありましたが。シーザーは何処までも男前で。仲間たちはシーザーを信頼し尊敬し。

自分可愛さに人類に媚びた猿たち。その『ドンキー』の末路まで。猿たちは何処までも恰好良過ぎて。

「基本的にはシーザー以外誰も人類と話せないのに。その手話とウホウホで大体の事が分かるという稀有なストーリー」

 

大脱走。レヴェナント等々。数多の映画要素も(何となく観ている側には)盛り込んで。そんな硬派で硬質な作品の雰囲気も持たせながら、どこかコミカルな要素もある。

 

「バッド・エイプ。可愛かった」
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シーザー達初期メンバーと同じく。動物園で暮らしていた、新しい仲間。「悪い子!悪い子!」と呼ばれていたことから名乗る「バッド・エイプ」何だか悲しいのに。持って余るひょうきんで憎めないキャラクター。勿論当方も大好き。苦しすぎる雰囲気をふっと緩めてくれる、ムードメーカー。

 

そうして。「ああ。こうして人類は」と。雪山というロケーションの意味を理解した終盤。そして。

 

「ありがとう。シーザー」

 

あの。昔深夜のテレビで。褪せた映像で見た、あの場所だと。夕焼けに焼ける件の場所を見た時、どっと何かが押し寄せた当方。

 

「そうか。あの時言っていた『創始者シーザー』とはこの猿だったのか」

最早神話。

 

新しい猿の惑星シリーズが気持ちよく幕を下ろした所で。

 

「やっぱりここまでの8作品を振り返らなくては…」溜息を付く当方。