ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ポルト」

ポルト」観ました。


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ポルトガルの都市。ポルト

とある夜。一夜の恋に落ちた、26歳のアメリカ人の男性と32歳のフランス人女性。

あまりにも幸せ過ぎた、完璧な夜。そして現実。

 

2016年。事故にて急逝したアントン・イェルチンの遺作。

 

「また。どえらい上質な恋愛映画を観たものよ」

 

映画館で一人。日曜の昼下がりに。こんなに…まったりとお酒を飲みながら恋人と観るべき映画を観てしまった当方。寒い…心が寒い…ギブミー・ブランケット映画。

 

ポルトガルの都市。ポルト。自分の様なよそ者でも住みやすい所であると言いながら。

どこか虚勢を張りながら暮らしてきた『異邦人』の二人。

 

32歳の彼女。考古学を学ぶ彼女はフランスからの留学生。恋人は大学の先生。別に何か不満がある訳じゃ無い。でも。

ある天気の悪い日。いつものように採掘場に居た。そこで。何となく見掛けたアルバイトの26歳主人公男性。互いに視線を交わし。でも。それだけだった。けれど。

採掘場から。帰る電車で。ホームで。一緒になる二人。目で追って。同じ場所に帰る二人。そして夜。

賑やかなカフェで。またもや一緒になった二人。もう無理。もう無視は出来ない。

立ち上がって。近寄ってくる主人公に声を掛ける女性。「私とよそに行かない?」

 

「そんな都合の良い事あるかあああ!!(恋愛難民当方の叫び)」

 

余談ですが。数年前。夏休みに青森に一人旅した事がありましてね。

普通車運転免許を持ちながら、それは完全に身分証明書でしかない当方。「竜飛岬に行ってみたい」と。青森駅近くの宿に宿泊。翌日の電車、バスの公共交通機関を確認した所、往復で一日(確か片道6時間以上)掛かるスケジュール。そして翌朝6時台の電車にて青森駅出発。そこで青森駅から見かけた、同じく公共交通機関で移動していた旅行者。正直当方の好きなタイプ。

今思えば、いっそ声を掛けたら良いじゃないかという位。全く同じ行程で旅をし続けた当方とその旅行者。「何この時間!」と叫びたくなるような、「乗り継ぎの電車待ち2時間強の超田舎駅(コンビニ等娯楽無し。無の時間)」なんかもあったのに…。

夜21時も回って。青森駅から暫く歩いて…やっと当方とは違う路地に消えていったその姿を見た時。「バカバカバカ!」となった当方。

(あの時。「お前はオバケのQ太郎ドロンパか。またはチンピラか」という赤地に星柄というピタピタシャツを着ていた事も、当方の勇気が引っ込んた一つの理由でした)

 

何を延々と馬鹿話をしているのかと言うと…「完全に運命としか思えない出会いはある」という話です。

 

まあ。この当方の青森旅行は与太話ですが。確かに「これは運命だから逃してはいけない」と思う事。やっぱり、長く生きていたらありますね。これは立ち上がらないといかんと。(ですが…正直こうやって相手から都合よく運命のアクセル切られた事はありませんよ。そういうの…体験してみたかったですよ‼)

 

三部構成。26歳の男性視点。32歳の女性視点。そして…あの夜、何があったのか。

 

はっきり言って一夜の。行きずりの恋。だからこそ燃え上がって。互いにいい所しか見えない。恋愛の一番いい所しか。

 

だからこそ。そこからの未来を信じたかった男性と。そしてしっかり現実にシフトした女性。

 

運命の恋。そう思った。やっとこの場所に、自分の居場所が見つかった。たった一日しか共有していないけれど、彼女は運命の人。これから一緒に幸せになる相手。なのに。

 

あれは一夜の事。今の恋人は大切な人。だからあれはいい思い出。そして幾重もの時を重ね。後戻り出来ない『家族』が出来て。でも。思い出してしまう。あの夜の事を。

 

時系列を変えながら。「あの夜…」と互いに反芻しながらも。あの奇跡の夜以降、二人が重なる時は二度と来ない。…そう思ったら。

 

とびきり幸せな。三部構成のラスト。「あの夜、何があったのか」

 

「こんなの…惚れてまうやろう」震える当方。

 

何もかもが美しい、でも危なっかしい彼女。(本当に。出で立ち全てがエレガントでした…ただ。ヘビースモーカーっぽくて。それは心配…)シャイで、ひたすら純粋な主人公。引っ越してきたばかり。まだ何も整っていない、そんな彼女の部屋で繰り返された、甘すぎる…リアルなセックス。何これ。最高過ぎる。

 

「ちょっと!ブランケット貰っていいですかね!」(注意:リアルでは言ってませんよ!)普段映画館でブランケットサービスは利用していないんですが。言いたくなった一人ぼっちの当方。

 

だからこそ。一部、二部の現実が…。でも。

 

映画だからこそ。三部の流れが美しくて。もうどれが現実でも構わない。寧ろ、このラストに身を委ねたい。

 

不慮の事故にて命を落としたアントン・イェルチン。勿論彼を惜しむ気持ちは尽きないけれど…何だか彼もこの幸せな世界に居て欲しくて。

 

兎に角、上質な恋愛映画。思い出すと何だか人恋しくて…堪らなくなります。

 
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