ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ディストピア パンドラの少女」

ディストピア パンドラの少女」観ました。
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どこかの近未来。

刑務所さながらの施設。独房。そこに収容されている少女、メラニー。

 

決まった時間に起床。車いすに拘束され移動。そこには同じ恰好の同じ子供達。

その恰好のまま。教育を受ける子供達。

時間が来たら、彼らはまた独房に戻される。そして与えられる、おぞましい食事。

一体彼らは何なのか。

 

ここに関しては伏せると全く話が進みませんので。とっととネタバレしながら進みますが。

 

「これ。Z(ゾンビ)もの…なんですな」

 

眉間を寄せて。どこの重鎮だよという声をだしてみますがね。これ、Z案件なんですよ。足が速い系のZ。

 

正体不明の菌(キノコ系)に侵された人類。一度感染すればその脳は繊維化。思考停止。しかもその感染経路は主に接触感染(Zモノにありがちな『噛まれる』というアクションからの~血液?その潜伏時間は秒単位)及び、その母体となるキノコの胞子。

 

(とは言え、そのキノコ?的な植物の胞子を秘めた、爆弾みたいな『種』はまだ爆発はしていなくて…って、この一文は観た者にだけ分かるアンタッチャブルなキーワードなんですが)

 

どんどん増殖していくZ(この作品ではハングリーズで統一なので、以降そう表記)脅かされる人類。でも。

 

「ハングリーズ第二世代。彼らは知能を持ち、人としての気持ちを無くしていない」

 

主人公のメラニー。正にこのハングリーズ第二世代。

ハングリーズへと移行していく人類の中で、妊娠期にハングリーズ化してしまった母親達の体内を食い散らかして誕生した彼らは、人類にとって未知の存在。

 

果たして第二世代は人類を救う、ハングリーズに対抗するワクチンの源になるのか。

 

知性を持つ彼らは、一見『普通の子供』に見える。

 

だからこそ、まるで独房の様な施設に入れざるを得なかった。人間の様に扱う為の、最低限のモラル。人間の様に扱う為の…でも、彼らは人間では無い。

 

何故10代の幼い子供を独房に入れるのか。車いすに四肢体幹ごと拘束しなければいけないのか。

「結局はハングリーズだからだ」

 

人間の匂いを、その他生きている生物のに匂いを感知してしまったが最後。もう彼らは自己を制御出来ない。ましてや空腹を感じている時は一層。

そして。人類が食べている様なものは体が受け付けない。だからこそ、独房では生きたミミズ系のモノを食事として与えられていた。

例え大好きだと思う相手であっても。「食べたい」という衝動に駆られ、相手を襲ってしまう。その衝動を抑えられない。

ただ本能のまま。相手に飛び付き、襲い、食べてしまう。(殺す、又はハングリーズ化させてしまう)

 

ハングリーズ第二世代を収容、研究していた施設。そこがハングリーズに襲撃され。

 

女性のコールドウェル博士。パークス上官。主人公メラニー。そしてメラニーが敬愛する、女教師ヘレン。

命からがら脱出した彼らは、大きな本部へ向かい逃亡劇を繰り広げていく。

 

「何か色々惜しい気もするけれど…だってあの顔面拘束マスクの、全然いざという時役に立たない感じとか。そもそものハングリーズのルールがちょっと不透明であったりとか。あの『生きている者と分からせない、匂い消しクリーム』は画期的やったけれど…結局動くもの、音の出るものに群がるのならな…とか。いつまで何を原料にそんなもの生産出来るのかとか。

後、そんなにハングリーズが増えたら、彼らの中で食糧難が起きるやん、とか。そしてあんなに絶対的なハングリーズの母数が居る中で、ワクチンは果たしてどう有効なのかとか。…そして何よりも!!」

 

「(小声)メラニーが最後に取った判断と行動が良く分からん」

 

自然淘汰狙い?食料が無くなる中で、あの先生も、貴方達ハングリーズもどうやって生きていくの?

 

「(小声)何かほのぼのとした感じで風呂敷が畳まれていってるけれど…良く分からん」

 

後。これは余談ですが。

職場からの緊急時対応の為、絶対に電話連絡が出来る状態で無いといけなかった当方。でも…もうここの所平日も休日もずっとそんな感じで…どうしても映画が観たくて…(因みに、それは拘束力は強い癖に職場からは一銭も出ない、休日潰しな上に代休も発生しないブラック約束で)マナー違反ですが、マナーモードにして、シャツの中にスマートフォンを忍ばせ。もしバイブ通知が来たら素肌で感じるようにズボンのウエストに噛ませ、光も漏れない様にして鑑賞していたのですが。(重ね重ね。本当にこんな事は今までした事はありません)

 

そんな、当方の体と一体化したスマートフォンが「TSUTAYAメール」とかで震えた時と、隣に座っていた知らない男性が、作中突然足元のリュックサックをごそごそしだした時。当方は致死的不整脈に襲われる位驚きました。

(前者は単純にスマートフォンのバイブに。後者は…「ハングリーズ化か?!」という謎の動きが視界に入ったことで)

意外と集中して映画世界に入っているもんですね…。本当にびっくりしました。

 

結局、この作品の一番の見どころは『主人公少女の圧倒的マイノリティー』その救われなさが軸になっている所。この設定は覆されないからなあ~。その切なさ。

 

何だか深く考えたら「??」という事もありましたが。

ハングリーズ(Z)をこういう立場から描いているのは、珍しい作品だなと思いました。