ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「スプリット」

「スプリット」観ました。
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誕生日会の帰り。

誘拐された3人の女子高生。犯人の男は、何と23人格を持つ多重人格者だった。

M・ナイト・シャマラン監督最新作。

「シャマラン完全復活」当方がこの作品鑑賞後、映画部部長に送ったメール。高まる映画部長。

「シャマランと言えば『シックス・センス』」長らくそう言われ続けたシャマラン。確かに、当方も全く伴走していませんでした。ですが。

 

2015年公開「ヴィジット」

あの「お爺ちゃんとお婆ちゃん、ボケてるの?それとも…ヤバいの?」という非常にアンビバレンスな作品。面白すぎて。案の定引き込まれた当方。
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そうなるともう。今回も観るしかないなと。

 

同級生の誕生日パーティー、の帰り。誘拐された3人の女子高生。相手はスキンヘッドの男。クスリで眠らせれて、起きたらどこかの密室。

勿論怖い。でも、どうにか相手を出し抜いて逃げ出したい。なのに。

ちょこちょこ顔を見せる、犯人の男。全く同じ人物なのに、来るたびにその性質が違う。

ある時は神経質なインテリ男。ある時は女性。かと思えば、あどけない9歳の少年。

犯人の男は多重人格。その数23人。

 

「ビリー・ミリガン案件ですな」

(1977年にオハイオ州で起きた3人の女性に対する強姦、強盗事件。そこから分かった「23人の人格を持つ男」の正体「ビリー・ミリガン」ダニエル・キイスの小説も随分話題になりました)

犯人の男を。どう出し抜けばいいのか分からない。全く次の行動も思考回路も読めない。

 

最悪の状況に置かれた女子高生たち。一体どうやってここを抜け出せばいいのか。

 

「驚きのラスト!!」一体シャマランはいつまで「シックス・センス」を引きずればいいのか。正直、この作品に於いては設定こそが一番の衝撃でしたので「ラスト云々」の衝撃を当方が感じる事はありませんでした。

 

「と言うか。手練れの俳優『ジェームズ・マカヴォイ』安定の演技よ!!」
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この作品を成功に導く最大の鍵である「23人の人格を持つ男:ケヴィン(ビリー・ミリガンに於いて『ケヴィン』という名前の重大さ…)」それを演じたマカヴォイ。
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ある時はインテリ男性。ある時はフランクなデザイナー。でもある時は女性であり、9歳の男子であり…危険な24人目の人格でもある。

 

「23人?正味確認出来たのは6人位ですよ」

 

十分ですよ。あんなスキンヘッドの男性で、ちょっとした衣装の変化程度しか無くて、あそこまで誰が誰か演じ分けられたのはとんだベテランのなせる技。それが見れただけでも大分成功している作品。
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とは言え。それだけでは勿論済みませんので。女子高生達にもスポットは向けないといけないのですが。

 

3人の女子高生。と言っても、彼女たちは仲良し3人組では無い。

主人公のケイシー。斜に構えて。クラスでも浮きがち。そんな彼女を「仲間外れにしていると思われたら、自分が嫌な奴だと思われる」から誕生日会に誘ったクレアとアルシアの二人組。帰る家の方向が一緒だからケイシーをパパの車に乗せた。そしたら不幸にも誘拐された。(とは言え、3人の誰のせいでもありませんが)

 

「クレア!あんた!…『スウィート17モンスター』のクリスタやんか!やっぱりあんた何だかんだ言ってリア充やね!」超ミニスカ巨乳アピールセーター着用。そんなクレアに思わず声を上げる当方。
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(写真は『スウィート17モンスター』のクリスタ:右 です)

 

まあ…逃げ惑う女子高生の中で、結構勇気を持った行動に出たリア充二人。

結果はともあれ、彼女達はとても頑張っていたし。そもそも「クラスで浮いていたケイシー」についても、誕生日パーティーに呼ばなかった訳じゃないし、呼んだとして嫌がらせをした訳じゃ無いし。一応は「一緒に帰ろう」とケイシーを誘って送ろうとしたんやし。誘拐されてからも「一緒に考えてよ!」という姿勢は見せていたし…別に嫌な奴らでは無かったと当方は思っているんですが。
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何しろケイシーが「狩人」なんですよ。
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幼少期。父親と、叔父とで狩りをした。そのシーンが何度もフラッシュバック。

得体の知れない目の前の人物の。一体どこで出し抜けるのか。じっと観察し続けるケイシー。相手はかつて狙った獣と一緒。

頭が軽いだけで。別に悪い子じゃない。そんな二人の同胞は、結局慌てふためいて自滅した。

でも。私はじっと待つ。こいつの正体が見える瞬間を。私は確実に仕留めてやる。

 

被害者であるはずのケイシーが。決してただ者では無い。それがシャマランの手法。

 

23人の人格を持つケヴィンのちょっとした変化を何となく感じていながら。結局は打ちのめされてしまう、女性精神科医

 

「おお。この構造は『ハッピー・キラー・ボイス』だ」
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当方のお好みサイコパス映画。ジェイミーの明るい「みんな!殺してごめんね!」

(思い出したが最後、エンドレスにあの楽しすぎるエンドロールミュージカルが脳内で流れる当方。どんな内容かですか?お手持ちのデヴァイスで調べたらいいんですよ!)

 

「解離性人格障害の可能性云々」みたいなことを第一人者みたいな顔して言いながら。

その対象者が「一通りの進化を終えた」様に扱っていたら「まだ進化の途中であった」

その獣を野放しにしてしまった、悲しき有識者。悲しいカウンセラー。

 

全く同じ流れ。

 

かと言って。あくまでもエンターテイメントサスペンス映画なんで。「結局ケヴィン対女子高生ケイシーはどうなるの?」に集約される訳ですが。

 

ケイシーの闇。彼女は目の前の23人の獣を倒したとしても、決して解放されない。彼女の持つ元々の闇の深さ。そしてそれは、悲しいかな目の前の獣と同じ問題でもある。

 

「他の女子高生二人。何かとケヴィンに服をもぎ取られた二人。でもそれ以前からやたらとムチムチさを強調していた服を着ていた二人。対して、すっぽり体を覆うセーターとジーパンを着ていケイシー。そのケイシーが肌を見せた時」

(ところで。あのムチムチボディに対しエロ的に無関心な24人のケヴィンに「おい!」と当方の全人格がツッコミ…これもシャマラン故か)

ケヴィンとケイシーは、加害者と被害者。なのに同じ傷を共有できる同士でもある。

 

ケヴィンを前にして。「狩人」として開花してしまった「ケイシー」はこれからどうなるのか。

 

一応ラストに掛けてのネタバレは回避しようと思いますので。あのエンドロールの数もメッセージも。まあベタながら分かりましたとだけ言っておいて。

今後も。息を吹き返したシャマランを。追っていきたいと思う当方です。
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