ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ラ・ラ・ランド」

「ラ・ラ・ランド」観ました。

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「夢を見ていた」

ロサンゼルス。女優をめざすミアと大好きなジャズの店を持ちたいセバスチャン(セブ)。
冬に出会って。春に再会。恋に落ちて。楽しかった夏。でも。互いの夢に向かっていく時。すれ違っていく秋。そして冬…。

往年のミュージカル映画を彷彿とさせ。正直、話だって目新しいテーマじゃない。なのに。なのに何故こんなに当方の心のやらかい所を締め付けるのか。

(昭)これは本当はR指定作品なんよな。それもR30位。話に嵌る嵌らんは、結局は個人差の問題やけれど。これはまだ自分自身がいくらでも選択出来て可能性に満ち溢れまくっている世代にはあんまり…な作品やと思う。でも…歳を重ねた者からしたら…もう堪らんくて。涙が。今も涙が。

おっと。当方の心の男女キャラクター昭(男)と和(女)の昭が。待ちきれず飛び出してきましたが。
…まあ、この体で今回は進めていきたいと思います。(因みに、ネタバレになる所は幾つも出てくると思います。先にお詫び致します)

(和)シェルブールの雨傘。ライムライト。そういうのを想像したなあ。何て言うか…覆水盆に返らず。と言うか。
(昭)あの時ああしていたらどうなったのか。そう思う事って、多かれ少なかれ誰にでもある。でも結局「あの時」「こう」選択をして、だから今の自分がある。「ああしていたら」は無いんよな。存在しない。分かっている。でも…。
(和)凄く言いたいことが決まりきっているんやろうけれど。ちょっと不親切すぎるから、他の事も話していいかな。
(昭)どうぞどうぞ。俺は胸に押し寄せる甘い奴とかを噛みしめておくから。

(和)(無視)あのオープニング。最高やったね。
(昭)あれな!何かが始まる感が半端無かった!お話事体には絡んでこないけれど。自分の映画鑑賞史上トップクラスのオープニングやったと思う。
(和)あのオープニングとその次のパーティーのミュージカルシーン。あの二つは独立してるように感じた。いかにもなミュージカルシーン。その華やかさ。衣装も基本原色で鮮やかやし、見ていて楽しくなる。

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それが、二人が出会ってからはちょっとずつ変わってくる。坂で踊る奴は素敵。天文台の奴なんて甘々。でも、話が進んでいくにつれて衣装もナチュラルな感じに変わっていく。最後のミアの歌なんて何も飾っていなかったし。
(昭)そして、あの問題のシーンが来る訳ね。
(和)先を急ぐなあ。まあ、あのシーンが興冷めやった、蛇足やったという声は多いからなあ。
(昭)確かに「そこは言わんでも。自分で想像したいんで」と思うのも分かる。バラエティー番組でCM明けにまた一から説明されるムカつきみたいな?でも…滅茶苦茶泣けたけどな。自分は。
(和)初めは明るくて楽しいミュージカル。でもそれは楽しいだけの絵空事で。話が進むにつれて、二人の世界が変わっていく。夢が絵空事でなくなっていく時、音楽はトーンを落として…寄り添うものになっていく。だから切なく終わってもいいんやけれど。でも言いたかったんちゃうかな「これはミュージカル映画だ」って。
(昭)どういう事?
(和)あの賛否両論のシーンは所謂「たられば」やけれど。「夢」が現実になった時、二人で生きていくという事が「夢」になったんよな。その叶わなかった方の「夢」を「いかにもなミュージカルシーン」で表してみたら。あのシーンが茶番にしか見えなかったとしたら、それは狙い通りなんやと思う。茶番なんやから。そういう所に二人は来たんやから。切ないけれど。
後は、単純にこれまでのミュージカル映画へのオマージュと賛辞とセットリストなんやと思うけれど。

(昭)「運命の人」という言葉の意味。同じ夢では無いけれど、志をもつ男女が出会って。惹かれて。自然と恋に落ちる。でも…この二人にとっての「運命の人」は「夢に向かう後押しをしてくれる人」やったんよな。
(和)それは恋とは両立しない。
(昭)何で両立しないんだよ!畜生!そういうの、引きずっちゃうんだよ!
(和)そして女は先に進んでしまうんですよ。すみませんね。

(昭)ミアが窓から見ていた景色。それは歳を重ねると共に変わっていく。
(和)初めはふわふわした、漠然とした夢。そこから飛び出して、もがいて。傷付いて。諦めようとして。また窓の内側に閉じこもろうとした。でも。
(昭)自分で言ってたからな。「情熱があれば人は動く」って。それを自らに差し戻した相手。そして新しい窓の前まで一緒に来てくれた。それがセブ。

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(昭)でも。自分はその窓の向こうで手を振って。男ってなあ…センチメンタルなんだよ。そしてその思いだけでずっと生きていけるんだよ。

何だか取り留めが無くなってきましたので。ここら辺で纏めてしまいますが。

公開後。既に2回鑑賞してしまった当方。観る者によって非常に意見の割れる作品だと思いますが。
「こんなに、王道のミュージカル映画を引き継いだ新しいミュージカル映画の存在は貴重」
強くお薦めします。そして。

アカデミー賞作品賞は残念でしたが。デイミアン・チャゼル監督の今後の作品を楽しみにしています。

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