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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「エゴン・シーレ 死と乙女」

エゴン・シーレ 死と乙女」観ました。


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オーストリア。28歳の若さでこの世を去った天才画家。エゴン・シーレ
1890~1918年。当時のウイーン世紀末美術史に名を残した一人。
彼の描く裸婦。そのセンセーショナルさは「ポルノ」「幼児性愛者」等の中傷も受けた。
彼の画家として生きた10年ほどを、淡々と描いた作品。

まあ…浅瀬に住む当方は、勿論彼の作品を語るような下地は持ち合わせていません。ましてやエゴン・シーレその人となりなど知る由も無い。

なので。何も考えずに観てしまった後から。慌ててエゴン・シーレについて調べたりした訳ですよ。というのも…。

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「主人公エゴンを演じた『ノア・サーヘドラ』が美しすぎて、まともな解釈が出来ない!」となったから。

エゴン・シーレ。鉄道員の父親は梅毒が頭まで回り、狂人となり死去。
錯乱状態になった父親の手に寄って証券などは燃やされた為、家は貧しかった。
名だたる美術学校に合格し、入学したが中退。4歳年下の妹「ゲルティ」をモデルに、かなりきわどいヌードを描いて画家として生活していくようになる。

(この映画のゲルティ役の女優さんがねえ…安達祐実似なんですよ。基本的には童顔で小柄。でもしっかりとした母親になっていく所も演じられる。
因みに、エゴン役の俳優さんは当方は伊勢谷友介似だなあと思っていました)

正直「これ二人デキてるやろ」としか思えない危ない兄妹。でも妹が自分の友達と付き合いだした事で、キレッキレにキレるエゴン。離れる二人。

そんな時。支援者であったクリムトから、モデルのヴァリを紹介される。瞬く間に恋に落ちる二人。運命の恋。

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二人で居れば。二人ならば。幸せになれるはずだった。なのに。

エゴンは中流家庭のエディットと結婚。ヴァリとは別れてしまう。

そして時が流れ。妊娠中のエディットがスペイン熱で死去。その数日後にエゴンも同じ病でこの世を去った。

というエゴン・シーレの半生を淡々と描いておられました…。


これねえ。エゴンの生み出した作品の凄さとかは別物として…どう考えても「エゴン人でなし」としか思えないんですよ。当方は。

全体的にはっきっりとした追及は避けてしれっと受け流していましたけれど…。

どう考えても妹ゲルティとはデキてたし、色んなモデルとも絡んでいた。あの家出少女の淫行疑惑も、否定はされたけれど…何だか不透明。妹ゲルティには「何が結婚だ。お前未成年やろ!」ってキレてましたけれど…ヴァリだって出会った時は17歳。そして妹と同い年。後に結婚したエディットだって、彼女の姉にもちゃっかり手を出していたというスケベ野郎。なのに。

「ノア・サーヘドラの圧倒的な男前さ。このスペックならば仕方ない。そりゃあこのビジュアルに生まれたら好き放題に生きていくよ。女たらし上等!」

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余りにも彼が美しすぎて。滴る色っぽさ。その半端無い説得力。まあ、仕方ないなエゴン。だってこんなに恰好良いんやもの。


「ちょっと待て。あくまでこれは映画やぞ」帰宅後我に返って「エゴン・シーレ」を検索する当方。本当のエゴンはどうだったのかと。

「何ていうか…川端康成先生系というか…」

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川端康成先生もチャーミングな顔立ちですが。何というか…今回のエゴン像とは全く違う。もう「ホームレス中学生」を小池徹平が演じたのと同じくらい違う。

この映画作品に於いて、ゲルティを演じた(安達祐実似)彼女くらいでしたよ。歳相応に見えたのは。エゴンはどう見ても20代後半~のアラサーにしか見えず。ヴァリも演技力の素晴らしさ云々は別にして、やっぱり17歳~21歳には見えなかった。何だか大人っぽくて。小粋な印象。

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そういう「お洒落フィルター」を少しずつ外して考えてみたら。
感じ方が変わっていく当方。

21歳と17歳のカップル。大学生くらいの若者と十代の女子の恋。意気投合して。二人はいつでも一緒。運命共同体。

当方のイメージする美大系カップルというか…破天荒で、でも壊れやすい芸術家(気取り)の彼氏を支える彼女。
芸術と割り切っている(つもり)だから、彼氏が他の女と絡んでも、表面上ではあっさりと受け流してみせる。私たちは自由。お互いを大切なパートナーだとは思っているけれど、結婚というしきたりには縛られたくない。

ですがね。はたから見てもお似合いなその二人が。何だかよく分からんけれど、いつの間にか破局。そしてその次の相手とあっさり結婚。これはあるある。リアルに見たことがある。

そして時が流れて…「つまんないけれど安定した生活」の中で「あの時…」と懐かしく噛みしめる。そういう恋だったんじゃないかと。

ヴァリのその後。悲しくなるばかりでしたが。

「馬鹿だな…エゴン」

言いたい事は一杯ある。でもエゴンが選んだ人生に、後から他人がたらればで文句を付けてはいけないなと。ぐっと言葉を飲み込んで。

ただ一つ言えること。「やっぱり28年で終える人生は短すぎる」

多くの作品を残したエゴン。でも。家族を得て。新しい命が生まれて。そこからエゴンの円熟した世界がまた開けたのだろうと思うと、本当に悔やまれる。

「また機会があれば。エゴンの絵を見てみよう」そう思った当方。