ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「人魚姫」

「人魚姫」観ました。

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皆が大好き、チャウ・シンチ―監督最新作。

当方が属する、たった二人の映画部の映画部長も大好きでしてね。
少林サッカー」「西遊記~はじまりのはじまり~」まあまあな熱量で語っておられました。

そして。当方のアンテナの貼り方の老朽化か。(当方的には)唐突に現れた「人魚姫」
当方の居住区からは若干遠い映画館。そこでしか無い上映に。えっちらおっちらと行って参りました。

上映1時間前にして残3席。立ち見も出ていたその劇場で。鑑賞し。

「結論から言うと、最高でした」

映画部部長に報告。動揺する部長。
(映画部部長は、現実での社会的地位が向上した事によって、自由に映画を鑑賞する時間を失いました)
「俺は周星馳が大好きなんだ!」映画部部長からの悲痛な叫びを…まあ。にやにやと受けていた当方ですが。


「我々は、元々は同じ種族のものであった。それが片方は人魚族に。片方は人間となった」
「今もなお。互いに共存できたはずであったのに。人間は進歩と共に邪悪な存在となり、人魚族を迫害するようになった」

なんと。魚類と人類のルーツは一緒であったと。ミトコンドリアレベルならまだしも、もっと近い所まで同じ進化を辿ったとする、人魚と人間。

でも。互いに干渉しなければ…特に関わる事も無い。はずなのに。

自然保護区域にされてきた星羅湾。そこを買収した青年実業家リウ。イルカが居るとされてきたその海の。イルカさえいなければリゾート開拓できると、イルカを除去する特殊な機械を使用。その機械によって傷付いた人魚族はハニートラップを仕掛け。若くて可愛いシャンシャンを使い「リウ暗殺計画」を企てるが。

「ベタベタのギャグ。そして中盤の甘々なラブコメ。でも、環境問題に食い込んだ作品。馬鹿馬鹿しい事が山盛りなのに、何も可笑しくない。最後はまさかの涙が…」

冒頭の秘宝館。あれれ。これいるかな~。という掴み。「もしかして館長、心臓手術してないかね?もう一回体見せて」なのに確認出来ず一転。


「宮迫です」と頬っぺたを叩いていた頃の。若き宮迫に似たリウ。元々は貧しい出で成り上がり。対する、人魚のシャンシャン。その「時間が経つにつれ可愛く見えてくる」一見貧相なヒロイン。

話の序盤。リウはただの怒りっぽい嫌な奴でしかなかった。

でも。投資家ルオランへの当てつけでシャンシャンとデートするリウ。

「あのチキンを食べるデートは、当方の映画キュンデートでも5本の指に入ります」

(500)日のサマーのイケヤデート」「はじまりのうたのWイヤホンデート」に匹敵する『うれしい!たのしい!だいすき!』デート。

チャチな遊園地の。出店されていたチキンの店。「美味しいから一緒に食べよう」と誘うシャンシャンを馬鹿にしていたリウ。でも食べたら止まらなくて。一緒に山ほど食べて。「俺は昔貧しかった。これは俺がその時食べた味だ」と涙し。腹の底から一緒に歌う「無敵の歌」。吐くまで遊園地のアトラクションに乗って。笑って。

これは確かに恋に落ちる。

どんなにお金を持っても。そのお金では買えない。共通の価値観。一緒に居て楽しいという気持ち。

俗っぽい敵でしかなかったリウの。思いがけない純粋さ。「俺、シャンシャンが好きだ」同じく惹かれていくシャンシャン。

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でも。そこで簡単に幸せにはなれない二人。

文字通り、命を脅かされている人魚族。リウは憎むべき存在で、まさか刺客であるシャンシャンが寝返る(恋してしまう)なんて思わない。

シャンシャンが人魚だなんて思いもしないリウ。

「ああ。確かに人魚姫だ」

でも。人魚姫って最後「海の泡となって消えてしまいました」なんですよね。それはちょっと悲しすぎると思いながら。

そこで暗くならないのが、チャウ・シンチー監督。

登場人物で嫌いな者が無かったこの作品で。当方が一番好きであったキャラクター「タコ兄」

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「上半身が人で下半身が魚」という仲間の中で一人下半身がタコという、主人公と親族であるはずの無いキャラクター。そこは無粋やし、触れませんが。
「キスした事が無いのか。キスしたら何か感じるはずだ」とシャンシャンの初チュウを奪い。人魚族を先導。シャンシャンのあとを付けたりもして、己が傷ついたり…でも最終的にシャンシャンを救おうとする。

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太った勝地涼みたいなタコ兄の。「面白くて一生懸命で優しい姿」当方は大好きでしたし、彼が出てくるシーンは概ね笑いで溢れていました。

(当方がもう一つ思いっきり笑ったのは警察のシーンでした。ちょっと「魚人間」を思わせるところもありましたが。ああいうベタなコントシーンは大好物です)

人魚族がどこかほのぼのとした中で。一切の緩さも見せなかった、人間側。ルオラン。

「好きなタイプ?中国人女性かな」



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映画部長のかつての言葉。どういう意味でかと真意を聞けず。勝手に推測している当方ですが…このルオランは映画部部長的にたまらんかったやろうなと思った当方。

この高慢な態度。加えてボディ。そしてボディコン衣装。

代表的なアジア女性共通の、貧相な体では駄目。でも居る。時々居る。この、ある程度しっかりとしたメリハリボディで無いと着こなせない、胸元強調衣装。これが着こなせるアジア女性の。その強引な強さ。ゆるぎない自信。その美貌。

気が強い。自分は安っぽい女じゃないという自負。(当方はこういう輩に対しては「散々弱弱しくいう事を聞いて見みせて…最終的にはねじ伏せる」スタンスで脳内進行しています。余談ですが。)

「日本人で言ったらかたせ梨乃ですか」

何だかおかしな方向に話が行きかけましたが。


主役二人が。ピュアな恋に落ちて。不器用ながらも互いの壁を乗り越えようとするなか。「何甘い事言ってんだ。金だ金」と清々しいまでのブレなさで突っ込んでくる彼女。金の価値は自分の価値。高価なものが価値のあるもので、自分はハイスペック。だから明らかに粗末なものに負けるのは自分の価値を落としてしまう。それは認められない。

また。環境破壊案件を説明する白人男性。日本人。都合の悪い事は外国人に説明させ。表面的な悪役ポジションからは逃げながら。結局自分にとって害となるものは自分で駆遂しようと躍起になる彼女。でもその姿は。皮肉にも、美しく滑稽で。

悲しいかな。最後は人間による人魚族への攻撃が始まる。

結構な勢い。
「お婆ちゃん。最高スペックを持つ貴方はもっと早く覚醒してくださいよ!」巨大海洋生物恐怖症の当方鳥肌のシーンでしたし、何だか色んな意味で泣けましたが。

穏やかなラスト。「なるほどあの秘宝館も無意味では無いんだな」と呟く当方。


後ね…この作品に対しての大きな不満なんですが。

「何故パンフレットを作っていない!!!」

巨大海洋生物に対する不安はありながらも。一応はチェック…したくても「この作品のパンフレットは作られておりません」

映画館が香港映画を幾つか上映していましたのでね。「3本観たらプレスシートプレゼント」とかやっていたんですが。如何せん、遠いのもあっておいそれと3本観れないんですよ。(そして後日で日程調整していたらプレゼントが終了したんですよ)

公開記念Tシャツとか。シールとか。そんなのは勿論要りませんが…パンフレットからの製作秘話とか知りたかったです。


兎も角。悶える映画部部長だけではなく。

「単純に面白いし、すっきりするし。ラブ的にも満足するから」遠くても観に行って欲しい。

当方からの。しれっとした、重要な案内でした。