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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ハドソン川の奇跡」

ハドソン川の奇跡」観ました。


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2009年、1月15日。USエアウェイズ1549便の不時着着水事故。飛行場から離陸して間も無かった旅客機に起きたバードストライク。両方のエンジンの動力を失い。と言って引き返す事も、他の飛行場に不時着することも出来ず。
そこで機長が取った「ハドソン川への不時着着水」
死と隣り合わせであるその判断が。超ベテラン機長の技術力と、様々な偶然も相まって何と「死者0名」の軌跡。所謂「ハドソン川の軌跡」

その機長役にトム・ハンクスを据えて。かの有名事故と、その知られざる、事故後の国家安全委員会(NTSB)とのやり取りを描いた。
クリント・イーストウッド監督最新作。

この事故は、当時当方もテレビのニュースで見ました。

「アメリカ。飛行機事故。明らかにあの案件を思い起こさせる事故。でも。奇跡の全員生還」

正直それ以上もそれ以下も情報を知りませんでしたので。それからそんな事になっていたなんて、全く知りませんでした。

数年前。職場の持ち回りの委員会当番から、何年か「リスク委員会」に属していた当方。

勿論当方は航空業界では働いていませんので。この事故について何も語れませんが。

ただ。在籍当時「航空業界の方からのリスクマネージメントについての講義」を受ける機会に恵まれた事はありまして。

当方のスカスカスポンジ脳では当時のお話しから多くは絞り出せないのですが。

「航空機事故は絶対にあってはいけない事。だから、フライトの前にはいかなる職種であろうと皆が集まって対等に意見を交わせるカンファレンスを持っている」といったお話が印象に残った事を覚えています。

だからこそ。事故があった後も。「大変だったね」「辛かったね」「頑張ったね」なんて甘い声かけでは済まされない。
徹底的に調べられる、事故の真相究明。そして「果たしてそれはベストな選択であったのか」という多方面からのフィードバック。

「そんな。だってあの時はこれしか選択の余地はなかったよ。」

果たして果たして。それは個人の中でのベストなのか。それとも、もっとより良い選択が存在したのか。

「これは…これはしんどい」

絶対絶命のピンチ。その極限状態で、長年の経験から搾り出した結論。確かにそれは危険で。全員生還だって、複合的なラッキーが絡み合ったからの結果論。どうなったかなんて分からない。でもそれが。その時はそれがベストなはずだった。なのに。

冷静な他者から。落ち着いて提示される「ベストアンサー」


ここからは、当方の勝手な事情ですがね。

朝一からの鑑賞。朝ごはんもしっかり食べて。ドリンクも準備。万全の体勢で映画鑑賞に挑んでいた…はずの当方に訪れた、映画鑑賞に於ける最大のピンチ。

「トイレに行きたくなってきた。」

まあまあ早い時点から。急な尿意に襲われる当方。ですが。

「この映画は1時間36分。90分強。3時間越えのインド映画を思い出せ!」

我慢できると。最後まで突っ走る事を決める当方。(そしてこの1時間36分の内容に、間延びする時間、所謂トイレに行ける隙は無いんですよ)

そうなると、初めに開栓してしまったドリンクの存在の重さ。そして普段日常生活に於いて「トイレは基本的に我慢しません。だってもしエレベーターにトイレに行きたい状態で乗ってしまって、止まったら?当方は冷静にそこからの脱出を試みる頭脳集団には加われないし、下手したら人間としての尊厳を失いますよ」なんて屁理屈をコネてとっととトイレに行く当方の。その膀胱の許容量の少なさ。

何度も繰り返される、2009年1月15日のその飛行。ともすればパニックに陥りかねなかったその航空機の。

勿論操縦していた機長、副機長の英断。でもそれだけじゃない。50代前後の3人のベテランCA。その機転と徹底したプロフェッショナル。
そして不時着着水したハドソン川に居た、いくつもの船達。そのとっさでまともな判断。皆が善意の元、自分が出せる力の全てを出した。

「理屈じゃない!これは完全なお仕事映画だ!皆が非常事態でありながら、自己で出来るベストの選択をして行動したんだ!」

迫りくる尿意も相まって、感情の振り切り方がオーバーになる当方。涙目。と言うか、完全に涙が止まらない当方。

「それを何だ!後からは何とでも言える!後から何が起こるか分かって振り返るなんて、全然フェアじゃない!」

国連安全委員会(NTSB)との公聴会。全身が膀胱と化した当方の、異常な緊迫感。そしてあの展開。(…危うく体の緊張を失う所でしたよ…。)

エンドロールまでキッチリ見なければならない。そんなクリント・イーストウッド監督の律義なお仕事を見届けて。

映画館のトイレで。余りの緊張と緩和に一瞬気を失いそうになりながら。

「何だかとんでもないものを観た様な気もするし…全然フラットな視点で観れていなかった気もするけれども。」

と言って。またあんな経験をするのは怖いので。再見はしませんが。


「律義で丁寧なアメリカ映画でありました!」さっぱりとした顔で映画館を後にした当方。