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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「エミアビのはじまりとはじまり」

「エミアビのはじまりとはじまり」観ました。

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若手漫才師のエミアビ。絶賛売り出し中で人気急上昇の二人組。

そのツッコミの海野が交通事故で死んだ。
残されたボケの実道。そして海野と一緒に車に乗っていて共に死んでしまった雛子。その兄の黒沢。

実は、黒沢はかつてお笑いの世界に居た人物。彼等にとっての大先輩で。
エミアビ結成の重大なキーパーソン。
そんな恩人の先輩に実道が会いに行く所から物語は始まる。

「これ。全国で公開四劇場なのか。レア…。」

西ではあんまり宣伝しなかったんですかね?満席で入れないと困ると早めに映画館に行ったんですが。何て言うか…ゆったり座れました。

映画部でも大人気。新井浩文氏目当て。

でも。前野朋哉。森岡龍黒木華。山地まりと、メインキャスト達もかなりしっかりしていたんで。そこは安心していました。

唐突なんですが。当方はお笑いに関しては非常にプライドの高い地域に住んでいましてね。

土曜日。学校から半日で帰ったら昼御飯を食べながら吉本新喜劇を見る。そんな幼少期を当方もご多分に漏れず過ごしておりました。

中学生。勉強をするふりをしながら毎日夜聞いたAMラジオ。声優。お笑い芸人。ハガキを送り、読まれると嬉しくて。最早ハガキ職人の域に達し。

若手お笑い芸人のライブに。難波や梅田の劇場に足しげく通いつめる知り合い。

当方は通いつめはしませんでしたが。職場の先輩が「チョップリン」というお笑い芸人にはまりにはまり。一時誘われて一緒に劇場に見に行ったりしていました。(現在チョップリンは東京に進出)

基本的に我々の日常会話にはオチが求められ。つまんない、だらだらとした話は嫌われる。
(本当に「その話、オチあんの?」って言ってしまいますからね。

どうしても西に住む当方は東の笑いを軽視していましたし、子供の時には「売れたら東京に行く」という西のお笑い芸人に「あいつ。東京行った。つまらんくなるなあ」という思いがありました。

時は流れ。そうやって東に流れた芸人達の努力の甲斐あって。かつて言われた「大阪弁は怖い」「やから」というイメージは随分とクリーン化し。
全国的に大阪弁は認知され、ナチュラルに話せる人は増え。

そうして東西のお笑い格差がややフラットになりつつある昨今。

当方は歳を取り。さしてお笑いに拘らなくなっている。

って。何の話をだらだらとしてしまったのか。

まあ。お笑いに関しては一家言持っていた時期がちょっとあったんですよというお話で。

お笑いコンビのエミアビのコント。まさか映画でフルコントを見せると思っていませんでしたので。何て言うか…勇気があるなあと思いました。


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だって。この人達はお笑い芸人じゃないから。あくまでも役者さんだから。

これが流行りの芸人のネタですと。映画の中でやらなくても良いのに。それを提示した製作者達の勇気。

笑いの内容としては、正直笑えなかった当方ですが。

舞台でのお笑い芸人の喋りの間とテンポ。掛け合いがきちんと再現出来ていて、凄いなと思いました。

今がイケイケなはずだった二人の。よりにもよって笑いのセンスの長けている方が消えた。残された方には最早何の力も無い。脱け殻。

「そうなんかなあ~。お笑いコンビで一人が天才扱いされるやつって、実はもう一人がしっかり受け止めてるからってパターンな印象やけれども。」

しかも。そんな相方と一緒に死んでしまったのは、大先輩の妹。

先輩の家に行く。これはきつい。

「黒沢さんは憑依型の天才だったんだよ」そんな伝説の元お笑い芸人。厳しいダメ出し。尊敬しているけれど、おっかなくて苦手な先輩。そこにノコノコ一人でご焼香。このミッションはきつい。

そして案の定。先輩がしんみりと言う。
「雛子の為にネタやってくれよ」

膝に遺影を抱いて。絶対に笑う気持ちなど無い相手にネタ披露。地獄過ぎる。

この「俺を笑わせろ」というシチュエーション。

この作品には、時と場所は違えど三回この同じパターンが現れるんですが。
そして総じてその無茶を振ってくる相手は一切笑う気持ちなど無い。

ふっかけられた者に逃げ場は無く。

「本当に。人を笑わせるって難しいんやな。本当に。」

人を笑わせる事を生業にしているはずなのに。狙えば狙うほど訳が分からなくなって。見失って。必死になりすぎて。そして相手も顔を強張らせるばかりで。

「でも、実は笑いって凄くシンプルだったりもする」

今でこそ形骸化してしまった「笑ってはいけない」が。まだ夜の一時間だった頃。
笑ってはいけない旅館で。ココリコ田中がお尻を叩かれる為に勢いよく立ち上がった時、意識せず壁に掛かった剥製に頭をぶつけた。
思わず出演者も、テレビの前に居た当方も笑ってしまった。

結局はそんなシンプルなハプニングに人は笑ってしまったりする。

律儀に見せていた三者三様の経過。でも結局笑うのは分かりやすくベタな悲劇。

そして笑ってしまったら。一気に顔も態度も軟化してしまう。

おそらくは。クラスなんかでも人気の「おもろい奴」が。皆を笑わせたくて踏み込むお笑いの世界。
でも。まわりもおもろい奴らで固まった時。自称おもろいでは不安になって。

折角見つけた跳べる相手。こいつと一緒なら高みに行けると。そう思っていたのに。

「実道さんだって跳べるんですよ‼」

頭悪そうで。でも実はしっかりしたマネージャー(黒木華)が。

「うん。だってお笑いコンビってそういう事やん。天才だけでも成り立たんやん。」頷く当方。

エミアビはまだ始まったばかりだった。
でもエミアビはまだ終わった訳ではない。

話の大筋は好きな感じの青春映画なんですがね。

いかんせん…昭和な古くささをちょいちょい醸し出してくるというか。ベタ過ぎたり過剰な点もあるというか。スベってるかなあと思ったり。
ちょっと脇が甘いと思ったりもしたり。

「言いたいことが一杯あるんやな。それ、言い過ぎんくても伝わるよ‼」てな事も時折思いましたが。

まあ。総じて嫌いじゃないです。

ところで。お目当ての新井浩文氏でしたが。

新井浩文血中濃度は高める事が出来た。それは大満足。」

黒沢さんのお笑い芸人としてのハードルががんがん上がりすぎて。どういうネタを持ってくるのかとドキドキしましたが。

「まあ。ブランクあったら仕方ないよな。ある意味前半は憑依していたし。」

きっと笑いを重ねれば。
彼らもまたエミアビとして跳べればいい。

また幕が上がって。

そして彼等は光の中に消えてしまいました。


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