ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ハイ・ライズ」

「ハイ・ライズ」観ました。

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どこかのロンドン。郊外の高層マンション(ハイ・ライズ)。

引っ越してきた、主人公の医師。
マンション内にスーパーやジムも完備されていて。完結した集合住宅。
高層階になるにつれ、高収入になる住民。
連日繰り広げられるパーティ。らんちき騒ぎ。
中層階に住む主人公は、階下の住民とも上層の金持ち達ともつるんでいたが。


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主人公の医師。トム・ヒドルストン。(以降トムヒで統一)

まあ。もういいですよね。これ。テアトルで散々劇場鑑賞マナー映像に使われていましたし。

近年、男前の代名詞トムヒ。
溢れんばかりの「ほんまに男前は何をやらせても様になるな!」
今回も全てのシーンが絵になるトムヒ。

そんなトムヒ飽和度を満タンにして、女性達は明日からの活力に…出来る感じではありませんでした。

「意外とグロい」

女性達には厳しい。公開後そんな声も聞こえた当方。

「グロ…?」

女だろうが、男だろうがあの手の映像にダメージを受ける人達は居る。そして受けない人達も居る。

…まあ、当方がこういうグロには全く動じないというだけではありますが。

医師という肩書きを持つトムヒ。でも、一体何科で何をしているのかは全く不明。だって。だってあの解剖シーン。

余りにも当方にとって引っ掛かった初盤のシーンでしたので。書いてしまいますが。
犯罪者か何かの頭部を解剖するんですがね。(というか、頭部だけ切って持ってくるって何なの。)恐らくは脳を取り出したいんでしょうけれども。

メスでつーっと切った後は、素手(‼)でぐいぐい頭皮から顔面やらの皮と骨を剥がすトムヒ。倒れる研究生。

「骨から皮やら筋肉、脂肪を剥がすのがそんなずるんと出来るか!百歩譲ったとして、茹でていたとしても…いやいや、やっぱり無理。あれか?トムヒの手は金属製の万能ラスパか?」

どんな肉であれ、手で骨から剥くのは無理。あれですか。頭洗う時、頭皮を揉んで大きく動いた事ありますかと。

その後も、最早うろ覚えですが。決してドリル等を使用する事無く、ノミ槌で頭蓋骨をたたき割るトムヒ。

「折角の貴重なサンプルが…。脳なんて破壊された状態にしかならないよ…。」

あのシーンの無意味さ。つまりはこういうグロがこれから出てくるよという観客への警告と、トムヒが、美しいけれど表情一つ変えずこういう事が出来るキャラクターなんですよという二重のお知らせ。でもリアル感は一切無し。


リアル感は一切無し…そうなんですよ。当方が乗れなかった理由は。

男前のトムヒの起用。その他ゴージャスな配役。いわくありそうなマンション。エピソード。美しすぎる映像のオンパレード。


何だか物々しいものに見せかけて、その実空っぽ。

最早そのマンションでのコミュニティーが全てになっていく住民達。
高層階に住むハイソな連中。ABBAの曲をバックに貴族遊び。でもインテリを気取る彼らからは全く知性が感じられず。

どうせ俺らは貧乏だと、虐げられていると不満を募らせる下層階に住む住民達。(ところで。嫌なら、何故単純に身の丈に合った所に引っ越してのびのび暮らさないのかと疑問に思う当方。そう思いませんかね?)

ある日起きた停電騒ぎをきっかけに。マンション内での均衡は遂に崩壊し。

「人間など。所詮はただの獣。」

前からそんな感じもあったけれど。一斉に酒池肉林の乱交パーティー。奪い合い。殴り合い。時には殺し合い。理性を保った人間など存在せず。最早誰を蹴落としたいのか。誰と繋がればいいのか。誰を信じればいいのか。自分自身すらも。

余りにもカオスな状態。一体その中で自分はどう立っていればよいのか。

「もうちょっと。もうちょっと深められたんじゃないの…。」

何やろうなあ~。この勿体ない感。

主人公を初めとする、主要人物達のエピソード。もっと落としどころを付けるか、それとも数を減らすか。
トムヒの猟奇性みたいなもので引っ張り倒しても良いのに。(原作ありきなんで無理なんでしょうが)

最後の取って付けた「新しい命の誕生」みたいなのも正直気に食わない。と言うか…大風呂敷を広げた割に、纏め方が雑で急すぎる。そうやって自然淘汰された後の新しいコミュニティーの誕生?所詮はマンションは箱なのだとう解釈?うーん。


「当方の勝手な意見やけれど…(小声)雰囲気映画ジャンルなんよな。オサレなバーとかのモニターで流れている感じで。となると…映像は美しいいんやから、いっそ無声映画にして、あのゴージャスなABBAとか、音楽だけ流したら斬新やったのにな。」

完全にオサレバームービー視点。

いや、わくわくしたシーンもありましたよ。「私のお尻に入れたい人は?」からの見事な人間机。あれを倒さないって凄いな!とか。

まあ。数年後どこかのオサレなバーで絶対見かける。そこで字幕のみのその映像を見る。オサレなバーなんて滅多に行く事もない当方ですが。そんな
未来が見えて仕方ない。そんな作品でした。