ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「フラワーショウ!」

「フラワーショウ!」観ました。


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イギリスのエリザベス女王総裁の英国王立園芸協会。そこが主催する、由緒正しい園芸大会「チェルシーフラワーショー」

「金無し。コネ無し。華も無し。」で挑んだ、2002年最年少チャンピョン、メアリー・レイノルズ。その人を題材にした映画。

当方の母親は花好きでしてね。

子供の時から何だかんだと花に囲まれる日常。日曜の朝。テレビに映る「趣味の園芸」。よく連れて行かれたフラワーセンター。

と言っても。全く花々に親しまなかったかつての当方。周りに溢れる花々はあまりにも日常で。だからこそ意識はしなかった。

寧ろ「何で朝晩水まきをしなければならない」(特に夏)「水まきは暑いし。蚊に噛まれるし」とイラついていた幼い日々。

歳を取ったんでしょうな。

ある時から。ふっと花々から気づく季節の移ろい。「あ。こいつ。やっと咲いた。」「この匂い。春やなあ。」「去年より頑張ってる。」「綺麗。」

気づけば人様の軒先の花々まで通勤等の移動の際に眺める昨今。


映画館で。チラシの美しさ。黄色ベースの燦々とした景色。ぐっと惹かれる当方。


そして。映画を観た当方は。


「うん。メアリー女子力高いな。当方は…ソウルメイトにはなれんやろうけれども。」

造園デザイナー(この表現で合っているのか?)のメアリー。と言っても無名でまだ山のものとも海のものともつかない状態。
有名デザイナーの元で働く事が出来たけれど。いい様にこき使われ。アイデアも吸い取られ。そして解雇され。

ぼろぼろのメアリー。

でもメアリーのデザインのポリシーは一貫していて。それで勝負する為に応募した「チェルシーフラワーショー」。
数多の応募作品の中から生き残ったメアリーのデザイン。

実際にイギリスに飛んで。チェルシーフラワーショーでデザインを再現する。でも、それを成せる為に必要なものを一切持ち合わせないメアリー。

ずばり。「資金。花々。職人」


さあ。そこでメアリーの女子力発揮な訳ですよ。

何だかとっても金銭的に困窮しているみたいな描写もありましたが。基本的にはフリーターのメアリー。
支援者も出てはきましたが。
多分友達夫婦が大分面倒をみているんだろうなと推測。

(でも。その金でメアリーアフリカに飛んだりするんだぜ~。どうなんそれ…。)

ヒッピー造園業者を見つけ。気難しいはずの長ともあっさり仲間になって。

「おいおい。ヒッピー達よ!何あっさりお姉ちゃんに取り込まれているんだ。」

メアリーのデザインポリシー。

「街中に溢れる、計算され尽くした不自然な庭。そんなものは美しくない。あくまでも自然な状態で。懐かしい景色を。そうやってまた自然を取り戻したい。」
(細かい所はうろ覚えの為意訳。)

そりゃあ、ナチュラリストのヒッピー達は心を持っていかれるよ。

でも。そんなメアリーの庭に最も必要な自然学者は非協力的で。

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しっかし。無駄に男前。これで頑なスピリチュアルナチュラリストって…。伊勢谷友介みたいなもんか。

「金持ちの道楽に力を貸したくない。自分はアフリカの緑化という壮大なプロジェクトに力を注ぎたいんやから。」

ツリーハウスで語る、俺のポリシー。

「これは…。最悪な発言やけれど。見方によればあんたのやっている事も、同じように見る人が居ると思うよ。所詮は多くを持つ者の傲慢ではないかと。」(当方)

崇高なポリシーの為ならば、金持ちに取り入って金を注がせれば良い。そういう気持ちもある癖に、人の夢には厳しい。似たような事を言ってるのに。

「結局は似た者同士なんだな。そして。一目会った時からお互い惹かれていて。互いのポリシーやらマウントやらでなかなか素直になれないけれど…って、この恋愛パート、必要かい?」

大切な大会直前に。多分仲間はヤキモキしているその期間にエチオピアまで飛ぶ主人公。何だかんだしたり顔で語って、緑化を手伝ったりしてましたがね。何かスピリチュアルな事を悟るシーンも「え?」という唐突さ。

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「大体何なの。この白々しさは。ツリーハウスで二人っきり。互いに好意は持っていて。掘っ建て小屋で二人で雑魚寝。こんなの…。飛び越えるよ!真ん中に置いたズた袋など!そういう所も詭弁なんだよ!」息まく当方。

「結局、好きな人を追いかけて。そしてカップルになって帰ってきた。あんなに俺の信念みたいな事を語っていた彼もあっさり協力者に。」

恋愛パート。(もしこれも実話やったら仕方無いですが)必要無かったんじゃないかねえ~。

もっと造園に対するエピソードで埋め尽くしたら良かったんじゃないのかと。

もたつきを見せた中盤を経て。怒涛の「お庭作り」の後半。

まあ。そこで巻き起こるごたごたとした出来事も。「主人公…素人なの?これは田舎の女の子のサクセスストーリーなの?」と思わざるを得ない展開。

「困った時。いつでも助けてくれる仲間達。」

そんな風には見えなかったですよ。貴方のおとぼけ感の方が強くて。ほっこり…出来ないですよ。

「何か。何か思ってたんと違う。」

どこまでが事実で。どこまでを脚色したのかは分かりませんが。

ただ。あの庭は。確かに素朴で美しかった。他の庭も見たかった。


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「花が。花がもっと見たかった。」

歳を取った当方は、この作品でもっと花や自然を見たかった。

映画館を出て。いつも以上に色んな町角で足を止めた当方。


「でも。確かに作りこまれた庭より、何てことのない雑草や野草の力強さよ。」

散々な事を言いましたがね。

メアリーのポリシーは。しっかりと受けとめる事が出来ましたよ。