ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「クリーピー 偽りの隣人」

クリーピー 偽りの隣人」観ました。

f:id:watanabeseijin:20160715000326j:image

皆大好き。黒沢清監督作品。

 黒沢清押井守庵野秀明ギレルモ・デル・トロタランティーノ

 「結局は…何をしたとしても愛される監督達よ!」

 ひたすら自己満足のミリタリーに転ぼうが、お化け、ロボット何でもあり。だって大好きだから。それが男子だから。

 寧ろ、彼らが上手く、纏まりのある作品を作る事の方が異質で。

 「さあやってきました。黒沢清作品!」

 一つ先の「岸辺の旅」当方も去年当該ブログで拙い感想文をしたためましたが。(リンクとか張りませんよ。こっぱずかっしいし。…と言うか、正直リンクとか張り方知りませんし)

カンヌ映画祭で評価された事もあって、明らかに黒沢清監督作品を知らないご婦人などが映画館に襲来。

「側溝から首長竜が出たりしないか」「日本兵が突然階段から転がり落ちたりしないか」「意味なくゴスロリのお姉ちゃんが転がらないか」「中谷美紀ウイスパーボイスで語りかけてこないか」色んな不安を勝手に抱いてヒヤヒヤした前作。

そして。「やれるんや…黒沢清が一切の遊びを辞めてストレートでもやれるんや。」と安堵と呆然で取り残された当方。

 安心して。でもどこか寂しくて。

 だって。黒沢清は。黒沢清は。歪さが愛おしい監督作品だから。

 そう思っていた当方と皆さま!(誰?)お待たせしました!

 たった1作で。簡単にリターンマッチ。黒沢清監督劇場。

 元刑事の主人公。自身が負傷し。刑事を辞職。大学講師の職を得て、妻と二人田舎に転居。そこで遭遇する、気持ち悪い隣人。

 もう、どんなちぐはぐだってご愛敬。

常に苦虫噛み潰した西島秀俊

もういつ「ラ王食べたい」と言いかねないテンションで。

(当方が初めて彼を認識したのは「三年身籠る」だったと思いますがね。まあ…ある意味変わらないですね)

相変わらず自由な香川照之。もう何だって楽しくやれるんじゃないの~というラフさ。ぶれたっていいじゃない。だってサイコパスやもの。結局何で生計を立てているのか。魅力もさっぱり分からないまま。兎に角の無双振り。

「藤野さんじゃないの!…なんていうかお元気そうね」ソロモンの偽証以来。

実は彼女の適応能力の高さこそが闇の深さであるとは思うけれど。

東出昌大。こんな自由な国家権力は無いよ。そして彼を始めとする「相当額の借金」って具体的にはハウマッチなんだ。星新一氏の信念じゃあるまいし。アバウト過ぎて分からんし、個人像がぶれる情報やからいらんやろう。

 川口春菜。結局彼女は「心で光を操る貴重な存在」

もうあの明暗は斬新すぎてにやにやが止まりませんでした。

 (ですが。本当の光云々は竹内結子香川照之が初めて会ったあの玄関先での光量と風かと思う当方。あれは本当にぞっとしました。)

実は西島秀俊香川照之の役が引っくり返っても良かったな~と思う当方。

 全員がブレブレのキャラクターを演じながら。最も振り幅が大きかったキャラクター。

「主人公の妻」竹内結子

 「私。色んな事我慢してきたの。」何を?お話ししてましたっけ?夫婦の会話の減少?主人公明るい内に帰宅して一緒にご飯食べてるやん。あの年代にしては早く仕事切り上げてるんじゃないの。何に苦しんでいるの?

 「そして料理上手すぎるアピール」

 引っ越しの挨拶に手作りチョコレート。バレンタインデーに手作りの編み物持ってくる系の重たさ。作り過ぎたと持ってくるシチュー。シチューって作りすぎたとしても、カレーみたいに何日か食べるやろう。しかもボウルで持ってくる。それは…当方は貰った事の無い内容と容器。だって、舞台はどう見ても夏。夏にシチュー。(加えホワイトじゃないやつ)持ち運びに不便なボール。これはどう解釈しろと?自慢か?それとも家に上がり込みたいって事?

中高生に料理を教える手始めがクスクスの何かから始まる、およそ一般家庭で再現出来ないやつ。

 「もうこの嫁こそが『クリーピー』だよ」

 彼女のキャラクターはしっかりするべきやったと思いますが。まあ…ある意味安定のブレブレキャラクター。

 そして、この手の作品にありがちな「無能な国家権力」

 隣で無言。気まずそうに過ごしていたカップルが、吹っ切れたように笑った「落とし穴」

当方ですか?思わず声を出して笑いましたよ。

 そして「一人で行くなよ~」という闇に飛び込む出演者たち。あのクラゲに「アカルイミライ」を連想する当方。

 いやあ。心配するなかれ。安定の黒沢清監督作品でした。

 ただ。当方が心配するのは「岸辺の旅」しか知らないご婦人が通常運行のこの作品を観てどう思うのかという事と。

当方が黒沢清監督を馬鹿にしているのではと邪推される事です。

 

どうなんでしょうね。当方は…黒澤清監督作品大好きなんですがね。