映画部活動報告「太陽」
「太陽」観ました。
人類を突如襲ったパンデミック。
謎の病原体に侵され、そして事態が集結した後、人類は二つの種族に別れた。
病原体に対し抗体を持つが、日光を浴びると死んでしまう新人類。
病原体に侵されやすいが、昼夜問わず外で生活出来る旧人類。
新人類が経済的に発展し、都会で近代化していく中、地方で貧困層へと追いやられていた旧人類。
旧人類集落に住む人達。
その中で新人類になりたいと望む若者と、旧人類でありたいと望む若者。そして境界で警備する新人類の青年。
彼等の想い。そして彼等の関わりを描く。
果たして、彼等に未来はあるのか?
入江悠監督作品。
元々が有名な劇なんですよね。
当方は未見ですが。
設定が余りにも面白そうで、予告を目にした時から公開を楽しみにしていました。
で。実際に映画館で観た訳ですが。
「非常に舞台っぽい作品。舞台…映画化の意味…。」
はっきり言って、映画としてはメリハリが無いし、やや中盤中弛みするきらいがある。
旧人類の若者の閉塞感。新人類になりたいと切望する気持ち。それは分かる。
対して、新人類達の闇。そこ、もっと深く描いてもいいんじゃないかと。
彼等は確かに得体の知れない病原体に怯える事は無い。
でも、多くの生命が必要とする昼間の時間を捨てるしか無かった。
人間の生理的な部分をコントロール出来たと。
商業も文化も発展し、完全に勝っているはずの新人類。
けれど。所詮はまやかし。
張り付いた薄ら笑いを浮かべ、ハキハキとポジティブに話す新人類。…その裏でちらつく終末感。
「こっちの闇をもっと見たいよ‼」
得体の知れない病原体に抗体を持たせる事で生まれ変わる人類って…。最早人類では無い。
…て言うか、それどんな病原体なんだよ!
旧人類も新人類も。どちらの人類の未来も明るいものには見えなくて。
歳を取ったからですかね。
目先のささやかな希望に胸を打たれるよりも、その先に潜む、でも確実な絶望。閉じることが確定した世界が見えてしまう。
どちらの人類も、遅かれ早かれ淘汰される。
演劇的だなあ~。と思ったシーン。
カメラを一点に固定し、動かさない。
そこで起きている犯罪が、声と衣擦れと見えない所で起きている。
カメラを一点に固定し、全ての起きている出来事をおさめている。
あくまでも全てを。どこかを突出する事無く。
その二つはとても印象的で。
それを映画館で観れただけで「映画化」に意義のある作品であったのだと言うべきなのかもしれません。