ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「マジカル・ガール」

「マジカル・ガール」観ました。

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情熱の国、スペインから。何ともいかれた作品が!…すごく気になる。予告で観て気になる。
…でも。見逃すかもしれない。どうしよう。見逃したら後悔するやろうな…。

予告で見かけて。ちょっと色々と立て込んでいた最近。見逃すかとひやひやしましたが。やっとの鑑賞。


「2+2は4だ。どんな行程を経たとしても2+2は4だ」

冒頭。意味深な授業の一コマ。そして始まる本編。不条理ながらもぐいぐいと引き込まれ。そしてまさかの、スタートと見事に対になったラスト。こんなにうまく畳み込まれたら…もう負けるしかない。お見事としか言いようがない。


12歳の白血病の少女。彼女の望みは「魔法少女になる事」「魔法少女ユキコの恰好をする事」「13歳になる事」
失業中の父親は彼女の望みを知って。

魔法少女ユキコ」また…非常に日本のマニアックアニメカテゴリーの。本来の対象とする少女達よりも「大きなお兄さん」に人気のありそうな架空のアニメーション。海を越えた白血病の少女はそんな日本アニメに夢中。
娘に具体的に出来る事はなにかと、こっそりネット検索する父親。そして知る、まさかの「魔法少女ユキコ」の衣装のお値段。90万円。

「ぼったくりだよ!」憤る当方。
有名デザイナーの一点モノ?オークション?…あくまでも子供向けなんでしょうが!高い!子供が着れる値段じゃないよ!足元見すぎ!…って、子供がまだ食べてる所じゃないですか‼(これはまた別の話)

どうにかして手に入れてやりたい。でも現在無職…。自棄自暴に陥る寸前の父親の元に現れた女。

ハイソな生活を手に入れながらも決して満たされない女。というか完全なメンヘラ。

そんな二人が出会い。たった一度交わった夜。でも。

なりふり構っていられない父親は、その不貞をネタに女を恐喝。そして思いがけず応じた女。

90万円もする衣装を手に入れた父親。しかし、その「魔法使いユキコ」になるためには、衣装だけではなく「タクト」も必要で。


父親の元々の心情を思うと、根っからの悪には思えない。でも結局やっている事は立派な犯罪で。

また、この女がね…。

あんまりネタバレしないようにしたいので…でもそうすると、こんなにふわふわした内容になってしまう。まあでも…ネタバレしたとて、同じ感じになりそうな…。

つまりは、2組の男女の話で。それが不幸な絡み方をしていくという。
余命いくばくもない娘と、その父親。かつて魔法を使えた女と、そこに魅せられ、憑りつかれ、破滅した男。

12歳。子供でもなく大人でもない。なのに、ある種の男達にとっては、そこいらの成人女性よりよっぽど強い支配力を持ってしまう…それが彼女達が持つ魔法。確かにマジカル・ガール。

でもその力は年を重ねると失われてしまう。残るのは、ただ己とその(精神的な)奴隷を苦しめるだけの残像。


「あら。こっちに振り切ったか」

病気の娘と父親のハートフルな展開。女と年老いた男の静かな語らい…そんなもの、くそくらえと。

一人ひとりについての説明も深追いしませんのでね。あっさり。みせるべき所のみみせる。後はご自由にどうぞ。

「まあ…あの黒蜥蜴の部屋では、一体何が行われるんでしょうね」

黒蜥蜴。流石江戸川乱歩ファンの監督。分かります。分かりますよ。(何しろ、当方の得意とする映画ジャンルは「変態映画部門」ですし「江戸川乱歩全集全30巻」を一時真剣に購入検討していましたからね。因みに「変態映画部門」ってイコールエロじゃないですよ)

随所に日本文化が好きなんだろうな~というエッセンス。まあ「魔法少女ユキコ」ってベタベタな日本アニメでしたし。

あの、全くコミュニケーション不足としか言えなかった彼らがこれからはゆっくり話せるのだろうと。

なかなかの暗い、苦い気持ちで終わる映画。…でも当方は大好物。実はかなり好きな変態映画でした。


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