ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ルーム」

「ルーム」観ました。

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「世界を初めて見た時。その表情。」

映画館でも予告編をばんばん流していましたし。何よりアカデミー賞主演女優賞作品。どんな話なのかは前もって聞いていましたが。

「出来れば前知識無しで観たかった…。」

この作品の感想を書くに当たっては、ある程度ストーリーに触れざるを得ない。…でも、本当はここから先は読まずに観て欲しい…そう思います。



おかしな男に誘拐された少女。監禁生活。そこで強制的に母親になり。産まれた少年。二人で過ごす日々。

そしてある日。母親は決心する。「ここを出てやる」と。

決死の勇気と行動力で、閉ざされたルームから飛び出した親子。

そして見た世界は。

あの少年の天才さには脱帽。「未就学児童の未知なる才能」を実感。だって…だって何であんな演技が出来るのか…。

まあ、あの少年子役の演技。それを一々言うと前には進みませんので。

兎に角、リアルであったと。あの少年に関してはそれに尽きるという前提で話を進めます。

初めて見た青空。四角で切り取られない、延々と続く景色。眩しくて。

少年にとっては、何もかもが初めて見るモノ。でも。母親にとっては?

あの閉ざされたルームで。絶対的支配下に置かれた緊張状態。男への恐怖。逃げられない絶望。その中で出来た「守るべきもの」

絶対に好意など持てる訳の無い相手との子供。でも母親は決して子供を捨てたりはしなかった。

「あの子の親は私一人よ」

ルームから出た後、インタビューを受けるシーンがあって。

流石に何でもかんでもネタバレは駄目だと思いますので、詳細は割愛しますが。

「何て無神経な。こんなこと言われたら精神が崩壊するよ。」

いわゆるティーンエイジャーであった年齢で。日常をぶったぎられ。将来の夢も何もあったものでは無い。最悪、殺されるかもしれないという、想像を絶する極限状態。

そこで何とか精神を保てたのは、子供が居たから。

子供を守る事で、守られた自我。しっかりしなければと。この幼い命を守り抜かないと己に言いきかせたのであったろう日々。

そんな母親にあんな…。余りの「無神経の破壊力」に一瞬息が止まる当方。


かつての閉ざされたルームは、親子にとってある意味甘く濃密な共同世界でもあった。男から必死に少年を守っていた母親。
その甲斐あって、ルームは少年にとっては悲劇の場所では無い。

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でも。ルームから出た母親にとっては?

ルームでの日々は地獄。でも、出た世界は決して柔らかく暖かい日差しばかりが差す所では無い。

「どうして知らない人に付いていくんだ」「何故逃げないの?」言うのは簡単。でも、誰よりも自分自身が繰り返しそう問うたであろう、ルームでの日々。

必死に生き抜いた母親に突きつけられる、世間の無神経で無邪気な暴力。

好奇の目。親子の日々を勝手に評価してくる輩。分かってほしい人との残酷な距離感。

物理的にはルームから出たのに、ともすれば精神的に閉じ込められる母親。

でも。そのどちらの状況でも、母親に希望と力を与えたのは子供。

ぐんぐんと世界が広がる少年と、ゆっくり前進と後退を繰り返すであろう母親。

親子を包み、共に生きてくれようとしている家族の存在。

「この親子の『6歳のボクが大人になるまで』を見たいよ…。」

数多の苦難と希望が親子に訪れるのだろうけれど。

それでも、世界は眩しい。果てしなく。

ようこそ、世界。さようなら、ルーム。

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