ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「新幹線大爆破」

午前十時の映画祭「新幹線大爆破」観ました。


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1975年。東宝佐藤純彌監督。
高倉健宇津井健千葉真一。その他オールスターキャストのパニック映画。

「東京初博多行きのひかり109号に、時速80キロを低下したら爆発する爆弾を仕掛けた」

そんな連絡を受けた国鉄。どうやら本物だと断定され。新幹線を走らせる運転手と室長を軸とした、国鉄サイド。
乗客約1500人。
翻弄される警察。そして犯人。

果たして、ひかり109号は無事に止まることが出来るのか?

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まずね。この、赤字で勢いの有り余るタイトルが大画面に出るだけで、振りきれる当方のテンション。満ちる心。

良いよなあ~。今日日こういうタイトルコールはありませんよ。

また、セリフもちょいちょい擽るんですよ。「エーテーシーが(ATC)」「女医の秋山です」等。まあ、そんな茶々はいいんですがね。

152分という大作でありながら、中弛みが一切無いという名作。何しろ、問題はひっきりなしに発生。

ひかり109号は80キロ以上を維持。
他の車両を巻き込ませる訳にはいかない。なので、他の車両を待避。衝突しない様に、かつATCが発動しない程度に減速しながら対面からくる車両と交差させるヒヤヒヤ感。後半の爆弾を探す下り。そして伴走。

運転室長。宇津井健のスタイリッシュさ。時には熱さも見せながら、しっかりとした口調で運転士と交信、指示。
( 調べたら、当時新幹線の東京博多間って9時48分発で17時36分着が本物なんですね。それをどんどん延ばす延ばす。)

でも。彼も中間管理職としての板挟みを味あわされる。あの判断。そして彼もまた、駒にされる。

対する千葉真一。確かに「機関車の運転士」が似合いそうな、てかてかに顔を光らせた運転士。

時には運転室長に吠えながらも。でも、交渉をしたりする時間が取れたのも、安全走行出来たのも、彼の確かな運転技術あってこそで。

「もし現代で、この事件が起きたら…。」

乗客のパニックたるや、この比では無いでしょうね。映画でも皆様詰め寄ったり、暴れたり、産気付いたりしていましたが。(あの謎の太鼓集団と、新大阪駅で下車させろと騒いだ男性。国家が傾く程の取引証券を一人で?て言うか、なにそれ?)
皆インターネットツールを持っているから、一早い情報を車内で入手。噂と真実が相まって拡散。不安の爆発。…二次的、三次的な人的被害が発生しそうです。

「タイトルや内容からも、安全性を唱っていた国鉄からは一切の協力が拒否され。ゲリラ撮影及びセット、ジオラマ撮影が行われた。」

結構なゲリラ撮影ぷりですよね。これは、国鉄から怒られたやろうなあ…。

(しかし、この作品に於いての国鉄って正義でしか無いのに…。プレゼン不足ですよ。)


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ジオラマは、微笑ましい位のご愛嬌ぷりで。でも、これが当時映画が日本でコケた一因だと聞いたら…国鉄が協力、タイアップしてくれていたらなあ。

(でも。今JRがタイアップして、最新技術盛り沢山でリメイクしても、全然面白くない気がしますがね。)

そして、高倉健。珍しく犯人役。


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この作品に奥行きがあるのは「犯人達の悲しさ」がきちんと折り込まれているから。

町の零細工場の元社長。過激派崩れ。集団就職の若者。

完全な負け組の彼等。そのなれそめ。そして犯罪に向かう流れ。その侘しさ。

だからと言って、勿論テロ行為をして言い訳では無いし、報いは受けるんですがね。それもまた哀しい。


今正に事件が起きている現場と、それに奔走する国鉄と警察。追われていく犯人達。

この場面転換のテンポが余りに気持ちよくて。

「ちょっと…警察。銃使いすぎじゃないの。」
高倉健よ。て言うかその当時よ。道にはそんなにすぐ動く車やバイクが転がっているものだったのかい?」
「え?火事?」

ああ。そこでそう使うのか。というラストの人選。そして幕切れ。

「これは確かにスクリーンで観るべき、日本を代表する映画だ。」

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全然褪せない。奇跡の映画。

こういう作品が映画館で甦る。だから午前十時の映画祭は、なんだかんだチェックは入れるんですよね。

また、お会い出来ます様に。