ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ヴィジット」

「ヴィジット」観ました。


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19歳で駆け落ちして以降、没交渉だった母親の両親。(祖父母)
彼等がネットで母親を見つけ出し。会わせる顔が無いと言う母親の代わりに、一週間遊びに行く事になった姉と弟。
感動的なメッセージムービーを作ろうとカメラ片手に向かった祖父母の家。

初めて会った祖父母。

しかし、彼等は何だかおかしくて…。

シックス・センス」のシャマラン監督作品。
近年不安定な(便利な言葉)作品を世に送り出していたシャマラン監督。

そんな彼が、低予算をPOVという技法に生かして復活‼

みたいな煽りがされていましたが。

当方は、語れる程シャマラン監督作品を網羅していませんので。スルーさせて頂きます。

しっかし、これはホラーではありますが。何と言うか。グロ!とか霊!とか意志疎通の図れない地球外生命体!とかじゃ無いんですよ。

それより「年寄りの怖さ」というねっとりとした、ある意味でのリアリティー。

「お爺ちゃんとお婆ちゃん。初めて会うけれど…。ボケてるの?本当にヤバイ人なの?」

これがこの作品のミステリーであり、ホラーであり。

(ショックシーンは、言うならば暗闇から突然に何かが飛び出す系の奴多し。)

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優しくて、料理上手なお婆ちゃん。何しろ、駅でのお迎えでタッパーに入れたクッキーとか持ってますからね。喉乾くなあ。
寡黙なお爺ちゃん。

和やかな団欒。でも、その初日の夜から既に気味の悪い出来事は起きていて。

「夜になったらおかしくなる。だから、夜9時半を過ぎたら部屋から出ないようにしよう。」


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でも。祖父母のおかしな事は、直ぐに昼間の生活にも侵食してきて。姉弟の不安は広がっていく。

15歳の姉。13歳の弟。また、絶妙な年令の二人だなと。

幼くも無い。でも、大人をねじ伏せる力も無い。
駆け落ちまでしたのに、結局夫に裏切られた母親を気遣う優しさがある。
祖父母は基本的に善人だと思っている。
ネットを駆使して動画をアップしたり出来るのに、それをSOSツールにはしない。

家族がおかしいという事を、どうにかして湾曲して自分自身に納得させようとする。

でも、好奇心は旺盛で。見なくてもいいものを見ようとする。

しかも、記録媒体を片手に。

当方ですか?せいぜい火曜日位でギブアップ。あの、町に出た日に逃げ出しますよ。
勿論夜は部屋から出ないし、地下室にも寄り付かない。
有線があるって事は、電話があるでしょうし。

小屋。銃。お婆ちゃんのお尻。夜。…お婆ちゃん。お婆ちゃん。


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お爺ちゃんも十分に怖いですがね。この作品で、最強に怖いのはお婆ちゃん。

何らかの賞を差し上げて下さい!とお願いしたい位の怪演。オーブンの下りのベタながらどきどきする言葉と動き。
演じるの、楽しかったやろうなあ~。

「うん。そうやろうな。」と思わず言いたくなった顛末。結構早くから気づいてはいました。だからこそ、「ここは陸の孤島か?」と突っ込んでいた訳です。

まあ、総じて言えば「母親が頭悪すぎる。」

貴方が…。こうしていればと思うこと、幾つもありましたよ。

とはいえ、母親だけでは無くて。大人が一人残らず役立たず。そして、皆から申告される「演劇経験」…つまりは、リアリティーPOVなど無いとのメッセージなのか。


後ね。当方が個人的にハラハラした事なんですが。

「弟。デコが広大すぎやしないか。」

10台とは思えない、不安な頭髪。彼の髪を掴むシーンは心の中で悲鳴。

やっぱりラップ文化って、貴方達には全く似合わないよと思いながら。


しかし。その夜。無表情で自室に繋がる階段を上がる当方を、脅かそうと?して突然追いかけてきた母親に悲鳴。夢の中でも訳の分からない年寄りに振り回される。翌日思い出してマグカップを落とし、縁が欠ける。

想像以上に当方の心のやらかいところを締め付けた作品でした。


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