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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「愛の小さな歴史」

「愛の小さな歴史」観ました。


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心身ともに疲労困憊で職場を後にした朝。
もう、布団の事しか考えられない。一刻も早く入団したい。…でも。

どうしても観たかったこの作品が。何故だか朝一回しか上映していなかったこの作品は絶対に観たくて。

老体に鞭打って、お酒片手に観に行ってきました。(朝、どろどろの体に入れるアルコールは最高)

配食サービスの会社で働く主人公。彼女の所に生き別れになった父親の消息を知らせに来た若い男。
昔散々苦労をさせられ、憎しみしかない父親。しかし、結局聞き流す事は出来ず。彼女は父親に会いに行ってしまう。

取り立てをしているチンピラ。彼は長く疎遠であった妹を見つけ出す。
妹は、すっかり薬物中毒になっていて。

その二組の家族の話を柱に。歪な家族は、本当の家族になれるのか…。

中川竜太郎監督。25歳?なんですよね。

冒頭に青臭い芝居を持ってきた為、構えるおいちゃん当方。
「こういう感じでいくのかい?舞台芝居でいくのかい?」

(まあ、その青臭いパートは…。今でも要るのかな…と思わなくはないんですがね。)

結構全体的にも、気を抜いたら青臭い感じは入ってくるんですがね。それは、そんなに嫌じゃない。むしろ弱りきったおいちゃん当方の心にぐいぐい迫って差し込んで切りつけてきました。

かつて母を、娘を散々痛め付けた父親。

光石研が弱々しい、儚い顔をするんですよ。もう、かつての猛々しさなんてなくて。酒で体も壊して、末期状態で。

娘はずっとそんな父親を憎む事で生きてきた。そして父親に会えた。…でも。

最早、憎しみを全力でぶつけられる相手では無いんですよ。

当方はまあ、何て言うか。両親には有り余る愛情を注いで貰ったと思うし。月並みの試練はあったかもしれませんが…まあ、それは当方が選択してきたが故で。

「あんたみたいなぬるま湯な人間には分かんないよ!」とか言われたとして、「はあ…。」としか言えず。

だって、人は産まれてくる環境を選べませんから。誰かと比較してどうこう言っても。ましてや、成人も過ぎた者は。
カラマーゾフの兄弟のイワン兄さんもだらだら語っていましたがね。「人は幸せは比較しないけれど、不幸は比べたたがる」(意訳)でも。不毛なんですよ。

おいちゃん当方が、この主人公に思った事。

「あんたの娘じゃなければ!って。どんな環境でも大学に行く人は行くし。この歳になって、自分で選択した人生を否定して。しかもそれを憎んできた人間にぶつけて傷つける行為は、非常に子供っぽいし、頑張ってきた自分も、支えてくれた人も否定してしまうよ。」THE正論。

でもそういう態度でしか、話をするきっかけが無いんですね。

「憎むより、許す方が楽になれるよ。」

センター分け90年台風ヘアスタイルの池松壮亮もそう言ってましたがね。と言っても、いきなりなんにも無かった様にやんわり関係を再開は出来なくて。それは父親も同じで。過去の過ちをはっきり言ってくれる方が腑に落ちますからね。って、なんて不器用なコミュニケーション。


取り立て屋のチンピラ。一見厳しく情け容赦ない声を掛けているけれども。

何だかね…。どんどん人情派な面を見せていって。と言うか、途中からはすっかり「良いアンチャン」。

ところで。豆腐屋に取り立てに行くシーンがあるんですが。

おっかないアンチャン達と、孫娘が険悪な言い合いを繰り広げるそれ。

ガラス戸が開いて、孫娘が姿を見せた途端、顔を覗かせた猫。
言い合いが始まっているのに、人懐っこく鳴く猫。

「猫派には堪らん!!」
この日、1番のキュン死を食らう当方。あれはあかん。あれはあかん。

何故妹が薬に溺れたのか。彼女とチンピラの関係性は。

これについては、またおいちゃん当方は先程の父娘と同じ事を言い出す事になってしまうので割愛しますが。

アルプスの少女ハイジ」で初めてぐっと来た。というのと、「薬物依存は警察に捕まっても良いから、しかるべき施設で保護しないと。素人では無理ですよ。」という感想。

この二組の家族は割と近い世界に生活していて。

「こういうぶった切りじゃなくて、やんわり交差して、そして柔らかく退場しても…。」とも思いますが。

まあ、時間は非常なんで。

いつまでも同じ関係があって、時間を掛ければ再構築出来る。家族なんやから…というのは甘いんやなあ。毎日を悔いの無いようにしないと。伝えないといけない事はきちんと伝えないと。としみじみする当方。

疲労とお酒で頭を麻痺させて。ちょっと青臭い事も入った映画でちょっと泣いて。家に帰ってぐっすり眠る。

間違いの無い、幸せな一日でした。