映画部活動報告「さよなら、人類」
「さよなら、人類」観ました。
面白ろグッズを売る、セールスマン。サムとヨナタン。彼等と、彼等の寄るあれやこれやの街の人を描く。
終日仕事の帰り。鑑賞。
思わずうつらうつらしかける当方。
「これは…。危険な奴かもしれない。夢の国に連れて行かれる系の。」
不条理な話の積み重ね。ただひたすらにその繰り返し。
きちんと落ちる話もあるけれど、落ちないやつもある。
「松本人志監督作品を思わせるな。」
賛否両論の作品。当方は一刀両断に切って捨てたりはしませんよ。でも。
「ああ。これは。好き嫌いはすっぱり別れるだろうな。」
終始この感じやと、確かに「訳が分からない」と言われるやろうと。
因みに、「難解な回答をさせる作品。及び、そう見えるものが偉い訳では無い。理解出来ないからと言って、己を卑下する必要は無い」と思う当方。
「分からない自分は馬鹿なんで」
いらないんですよ。そういうの。
他人には分からない世界≒高尚では無いんですから。
…でも。
この、観ている瞬間は分からない世界が、後からじわじわくる感じ。
「元気ならなにより。」
といった言葉が随所にあって、つまりは「何があっても元気ならケセラセラ」というメッセージが根底にあるんでしょうけれども。
色んなエピソードがあった中で、酒飲みの当方がいたく泣けた話を一つ。
「ロッタの店」
もうずっと長く、ある居酒屋に通って居られる男性の、過去のエピソード。
これがまた…。泣くしか無いし「映画の素敵さって、そういう事だ」という位のエピソードなんです。
うつらうつらしていたはずの当方の目から、涙が溢れましたからね。
「そりゃあ、酒飲みの命がある限り、この店を見届けるわな。」
コートを着せてもらう、その老いた後ろ姿。
こんな店と出逢えたら。…幸せですよ。
ところで。
この映画では「ともだち賛歌」の替え歌が色んなシチュエーションで流れるんですがね。
結構しんみりとしていたはずなのに。
悲しいかな、今思い出そうとしても「ヨドバシカメラ梅田店」の店内で流れるハイテンションなやつにすり変わってしまうんですよ。
「関西電機保安協会」がメロディでしか言えない関西人。「奈良健康ランド」「ホテルニュー淡路」等々。
まあ、逆を言うと「ヨドバシカメラ梅田店」に行く度に「ロッタの店」を思い出すのだろうと。
歌の力って、凄いですわ。
どう見ても、盛り上がれそうにないパーティグッズをセールスする二人。
あの二人も、後からじわじわと可愛く見えてはくるけれども。
「馬!」というビックスケールで現れる国王と、シンプルながらも戦さの愚かさと悲しみが伝わるカフェ。
一見ほのぼのとしたエピソード達。そこに流れるもの悲しさ。
そして。
「ああ。確かにこれが幸せだ。」
美しくて悲しい画を、沢山観た。
それらは、自らは多くを語らないけれど。
地味でひっそりとした美術館を訪ねた気持ちで、映画館を後にしました。