映画部活動報告「海街diary」
「海街diary」観ました。
是枝監督最新作。吉田秋生の同名漫画の映画化。
鎌倉に住む三姉妹。父親は母親と彼女達を捨て、愛する人と奔走。
その人との間に娘をもうけ。
しかし、すぐにその人は亡くなり。
娘を抱え、再婚。
そんな父親の訃報。
父親の葬式に参列した三姉妹は、腹違いで中学生の妹に初めて出会い。
居場所の無い妹を鎌倉に引き取り。
四人になった姉妹。
その、淡々とした一年を描く。
奇跡の四姉妹。父親…。凄いな。
長女の綾瀬はるか。恐らく30台の設定。しっかりものの看護師。
でも、その頑張りは若干痛々しくもあって。
次女の長澤まさみ。銀行員。昼間っから酒を飲んで、ちょっとだらしなくて。
でも、親しみやすくて憎めない。
三女の夏帆。スポーツ用品店で働く、のほほんとした癒し系。
そして四女。広瀬すず。中学生。
彼女のみが、台本を渡されずにその場その場で監督の口伝えで演技をしていた。
是枝監督の、いわゆる子役演技指導方法。
父親にも、その後母親にも捨てられた三姉妹。
恐らく、語られない色んなすったもんだがあって、現在の形態を保っている彼女達。
そこに、後ろめたさも抱えながら入った末っ子。
絶対に誰もが彼女に辛く当たらないのに。でも、自ら己を異端としている彼女。
そんな四女のぎこちなさと、広瀬すずに対する独特な演技指導故の場当たりさが、上手くシンクロしている。
そんな気がしました。
この映画を観ての、当方の第一印象。
「小津映画。」
若い時は「つまんねえ映画~。」としか思っていなかった当方。
でも、小津作品は…歳を取らないと分からんのですよ。
この、よくよくみたら色々起きているのに、何も無いようにみせて。
結局皆で仲良く食卓を囲んでる。
何でもないような事が。幸せだったと思う。
この、しみじみと染みる感じ。これは下手したらR30でも早いかもしれません。
何でもないような毎日。
普通に考えたら、この妙齢な三姉妹の一緒に暮らす形態が後10年続く事は無いやろうし。
この日々は、恐らく彼女達が過ごす最後のターンなんやろうと思えて。
何だか切なくて。
鎌倉という土地。おいしい食べ物。
そこに住む人。生きざま。
四姉妹が誰かを弔うシーンも多い。
ただ、儚く感じて切なくなっているのもおかしくて。
だからこその末っ子の投入であって。
美しい時間は美しく。でも、そこで彼女達はどういう決断をし、どう進むのか。
あり得るのならば、ずっと彼女達を観ていたい。そう思う映画でした。