映画部活動報告「私の少女」
「私の少女」観ました。
ペ・ドゥナ扮する警察官。彼女は何やらソウルでやらかし。田舎の警察所長席に左遷される。
海辺の街。漁業で細々と生活を営む集落。それは最早限界集落。
所長は一人の少女に出会う。
それは、限界集落で唯一の若手の男性の娘であり。
集落皆で黙認され続けた、虐待され、いつのまにか育てられたモンスター。
当方の印象ではありますが。日本で公開される韓国映画は、大きく二つに別れるんですよ。
馬鹿みたいなラブラブ漫画ものか、救いようもない位に明け透けなバイオレンスものか。
勿論。当方の好きなのは後者で。
韓国の新たな監督の誕生。それは、全方面を力強く訴えてきた先人達の流れを受け継ぎながらも繊細な作風。
終始ペ・ドゥナを愛でる作品としても成功してるんですがね。
「街に一人残ってくれて、街に貢献してくれているパク・ヨンハという若者(例のあの人とは同姓同名の別人)」
街の年寄りの皆は、だから彼が暴力を振るっても、法を犯しても強く言えない。
パク・ヨンハは、狭く堕ちたコミュニティでは仕方ない悲しいキャラクターなのか…。
この作中で多く出てきた言葉。
「彼は悪くない。悪いのは酒だ。」
酒とは深く付き合ってきた当方としては、苦々しい気持ちでしか聞けなかったですね。…本当に何ともね…。何ともね。
パク・ヨンハは、酒で暴れる人間では無いんですね。酒が無くても基本的には暴れる人間で。
一つ当方がネタバレをするならば、ペ・ドゥナも、一人でひっそりと酒を飲んでいるんですよ。
それは、水の1.5㍑ペットボトルに韓国焼酎を詰め直し、静かに一人で延々飲むという「ちょっと酔っぱらう位の方が可愛いわ」という怖い飲み方。
しかも理由は「眠りたいから」
入浴時に焼酎を水の様に飲む!怖くて震える当方。
ペ・ドゥナがこんな僻地に飛ばされた理由。これが本当に韓国ではありがちな話なのだとしたら。…ちょっと…正直、儒教の国韓国の保守性を疑わざるを得ない。
…ただ、あくまでも詳細が語られた訳では無いので…。何か、露呈して周りにとって不愉快な事があったのかもしれない…。
あの、虐待を受ける少女に対する対応は、恐らくマニュアル的には大失敗で。
でも。観ている者としては仕方ない流れにもみえて。
そして、ペ・ドゥナの感情を押さえたスタンスこそが、現在抱えている苦しみであり、彼女が抱えようとしている新しい問題であり。
虐待されていた、モンスターの執着心故の狡猾さ。
今は良くても、絶対お互いにすぐに追い詰められると思いますよ。
最後の二人は本当に美しくて。
でも。どうしても語られなかったモンスターの立場を想像してしまい。
「彼女は、恐らく生涯で初めて手に入れた尤も美しい魚を、直ぐに死なせてしまうであろう。」
としか、思えませんでした。