ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「恐怖分子」

「恐怖分子」観ました。

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台湾のエドワード・ヤン監督19年前の作品。

ある朝。
何度も鳴り響く銃声。なのに誰も気にしない。女達は洗濯物を干して。そんな街。
警察から逃げる少女。
少女にカメラを向け、ひたすらシャッターを押す少年。
足を怪我した少女は自宅に連れ返され、閉じ込められる。
逃げられない少女の掛けたいたずら電話。
出たのはスランプに悩む女性小説家で。

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19年前て。1996年って事ですか。

確かに、服装や髪型は当時の感じで懐かしい。…って、当方もあの少女側…より幼かったですけれどもね。

でも、古びないなあ~。

話は、中盤ちょっとたるむんですよ。お腹一杯で観てしまった当方も、正直一瞬意識が飛びました。

絵面が凄い。

陳腐な言い方になりますが。もうね、エッジの効いた絵面がばんばん出てくるんですわ。


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壁一面に分割した写真が貼ってあって、それが風でなびく様。映画館にも、吹くはずのない風が吹いた気がしました。

群像劇のキーとなる少女。美少女で、でもとんでもなく愚かで頭が悪い。
その危なさ、不安定さ。10台の女子の魔力なんかなあ…。

あの少年の、何かを見た気はしたのに、結局元居た温かい所に戻る甘え。

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彼はもう、あの少女には会えないよ。

そして小説家夫婦。

3組のストーリーの中で、唯一歯車が崩壊した二人。
突然掛かってきた電話。それまでの緩慢な破滅への道が、急速に取り返しの付かない方向へ走り出してしまう。

泣いても喚いても、掛け違いは戻せなくて。
あんなにもきらきらした毎日は、もう砂の様に滑り落ちて。

ラストはどちらでも。

どちらにしても、感情は整理出来ません。


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