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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「セッション」

「セッション」観ました。


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言わずと知れた、アカデミー賞助演男優賞受賞作品。

何かと話題のスポ根音楽映画。

19歳の主人公。有名音楽大学生。ドラムを演奏している。
ある日伝説の教授に見初められ、彼の率いるジャズグレープに入る事となる。舞い上がる主人公。
しかし、その教授はとんだスパルタ教育者で。

この作品が嵌まる人も居れば、嵌まらない人も居る。
それはそう。本当は、どんな作品でもそう。

ただ、とにかく自分の感想を話したくなる。誰かと語りたくなる。そんな作品なんだろうなと思いました。

19歳。

何者でもない癖に、そして大した努力もしていない癖に「自分には隠れた才能がある」「人とは違う」「それを誰かが見いだしてくれる」「そして自分は何か大きな事を成し遂げる」という、根拠の無い傲慢な自信と願望。…の割りには基本的には受け身。あるある。これは多かれ少なかれあった、多くの19歳を通過した人間の記憶。

主人公の身内の食事会での態度。上手くいきそうな女の子に対する態度。あれは特に顕著でしたね。
て言うか、あの女の子に対しては…終盤の電話での彼女。あれは彼女の立場からしたらしてやったりの言葉ですよ。見えないのに、彼女の表情が目に浮かびましたからね。

話がずれました。

とにかく、「誰かが自分を見つけてくれた。そして自分は高みに行ける」と安心したはずやったのに。それはとんだシンデレラストーリーで。

また、スパルタ教授が…。近年、あんな指導の仕方は体罰やとすぐ言われるよ。

外面は柔らかい。そして初めのあたりも柔らかい。けれどもいざ彼の懐に飛び込むと…待っているのは地獄。

教授のやり方は「新興宗教の教祖」や「とんだ犯罪を犯したグループのトップ」さながら。
基本的には恐怖で支配。しかし、時にはほろりとした人間らしさ(みたいなもの)を見せる。予測不能な緩急のある態度。

「俺は偉大な才能を見つけ出したいんだ」という彼の思い。「能力を最大限まで引き上げたい」という熱い思い。実際の指導でのジレンマ。それらは痛い位に伝わるのですが。

まあ…。基本的には性格悪いですわ。
それも、相当。

なよなよとした態度で仲良くやっていたって、何も進化しない。強い言葉で分からせるのは、勇気も要るし、放った方も自己嫌悪で疲労する。

でも!…でも、この教授の指導に使われる言葉や態度は、根底にある個人の性格の悪さも大いにあるはず。これはもう、不器用とかいうレベルでは無い。

結局、ずっとやられ続けていた主人公。

それでも教授に付いていけば、認めてもらえれば、自分は高みに連れていってもらえる。文字通り血の滲む練習をして。

若さ故の傲慢さ。儚い夢。それが叩きつけられた時、彼はどうするのか。

最後の演奏シーン。当方はジャズどころか、音楽全般も精通していませんので、技術がどうこうとは言えません。

とにかく、迫力に圧倒。

ただ…。あれがジャズ映画では無いと言われる所以は「あくまであの二人のセッションだから」であるんだろうなと。

楽団としての舞台。皆で演奏し、お客さんに聴かせる。でもそこで起きたのは「結局は相思相愛であった二人の、ぶつかり試合を披露」な訳で。お客さんも、熱意は伝わるけれど…。正直、あの楽団の演奏は全体的には何だったんだと思うやろうなあ。

二人のセッションこそがこの映画のハイライトである事は承知。でも、それを取ったが最後、これは確かに「ジャズ映画では無く、スポ根音楽映画」となる。

まあでも、どこにも「ジャズ映画」とは明記されていなかったと思いますけれどもね。舞台を音楽に置いているだけで、テーマはスポ根ですからね。(勝手な解釈)

当方の回りの音楽を嗜む人達。映画を余り観ない彼等に。と言うか、色んな年齢、立場の人。何でも。とにかく誰もが観たらいいのに。観て欲しい。

そして色んな感想を聞きたいなあと渇望する。そんな作品でした。