ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」観ました。


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言わずと知れた、今年度アカデミー賞作品賞受賞作品。

20年前。「バードマン」といういわゆるアメコミ映画にて有名となった主人公。


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しかし、現在の彼は一線を退いており。過去の名声が懐かしく、不甲斐ない現状にもがいている。
何としても返り咲きたい。演技派として認められたい主人公は、ブロードウェイで全て自分でプロデュースした演劇を企画。間近に上演する予定。

かつての名声にすがる気持ち。プライド。現在のメディアや公報。圧倒的な才能。大切にするべきだった家族。

それでも主人公が欲しかったものは?


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「全てを長回しに、ワンカットで撮ったかの様な映像!でも全く飽きさせないし、むしろぐいぐい魅せていく!」

「初代バットマンを演じたマイケルキートンを主人公に置いた、絶妙な配役!」

「エマストーンのギョロ目!」

うーん。感想としてありきたりですね。
まあ、それも勿論凄いんですけれども。

よく考えたら、作品賞は取ったけれども、俳優賞は誰も取らなかったんですよね~。


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俳優賞は、各々に秀でたポイントがあったし。…まあ、裏ではアカデミー賞受賞には何らかの示し合わせがあるのかも知れませんけれども。知ったこっちゃない。

「むしろ、作品の中で誰か一人の役者が突出した訳では無くて…。全体のバランスが良すぎたからじゃないのか…。」

主人公のマイケルキートンしかり、憎めない自由人のエドワードノートンしかり。皆、達者な役者さん達が全力なんで、安心して映画の世界に浸れたのではないかと。誰もが上手すぎて。


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何で?という部分は幾つもあるんですよ。でも、それをどうこう説明するのはむしろ無粋。


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うーん。画を間違えましたね。

欲しかったのは「カッコイイとはこういうことさ」というフレーズ。

あの画の見せ方、ドラムロールの粋な演出。ワクワクさせる雰囲気に、ちまちました事を拘る必要は無いかと。

「観たお前が考えろ。」


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中途半端な世界観の作品は、得てして説明を求めたくなります。しかし、どんなに荒唐無稽なレギュレーションでも、推しきる作品というのもあります。

当方にとっては、バードマンはそういう作品でした。

まあ、内容自体は過去の栄光にすがる中年男性のぐだぐだな訳ですし、やるせない気持ちも存分になります。…でも、それをこんなにスタイリッシュにやりきられたらなあ~。たまらんよ!

意外とはっきりと現在の映画、演劇、メディアにも意見を表明しているし。

でも、そこを抜けきった彼をどう解釈するのか。

その自由さは、やっぱり粋な作品でした。


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