ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「花とアリス殺人事件」

花とアリス殺人事件」観ました。


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岩井俊二監督作品。2004年の「花とアリス」の序章。

転校生のアリス。転入した中学校のクラスにはオカルトめいた謎があり。
「去年このクラスでユダが死んだ。殺したのは4人のユダ」
どうやらその真相を知るのはアリスの家の隣の花屋敷に住む少女、花らしく…。

10年前の作品も観たんですが、端的にしか思い出せず。「海とトランプのシーン」「そのトランプとアリスと先輩」「踊るアリス」の柔らかい映像と苦しさ。瑞々しさ。
「文化祭の落語シーン」お話のピークなはずやのに、落語先輩を延々と見せる下りにイラッとした…という印象のみ。

岩井俊二監督のセンチメンタリズム。
どちらかと言えば苦手でしたけれども。

でも、やっぱりどこかで気になっていたんですかね。見逃せませんでした。

中学生って、こんなに幼いかなあ~と思う序盤。彼等が共有する都市伝説の稚拙さ。いくらなんでも誰かは真相を知ってるやろうし。でも、いつの間にか独特の世界観で押しきっていく感じ。前もこんな感じがした。

帰って、即DVDで前作を観たんですが。


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眩しい。歳を取って観ると、初見より眩しくてぐらぐらしました。

実写とアニメやのに、驚く程世界観が変わらないんですね。

パッと見、さばさばと奔放なアリス。でも内心両親の事に胸を痛めている。
決して溌剌としていない、内向的な花。でもぎょっとする位思い込みが激しく、押しが強く、惚れっぽい。

花の無理矢理なレギュレーションに、巻き込まれるアリス。この構図も同じ。

作中で見る限り、アリスって自分の胸の内を話さないですからね。だからこそ、アリスが爆発するシーンは切なくて…美しい。

岩井俊二監督作品って、全体的にソフトフォーカス気味というか。幻想的やなあと思うので、アニメの人物の表情はともかく、水彩画みたいな背景や色合いが違和感無かったです。

主要メンバーが10年経っている今、序章なんて撮れる訳が無い。
絶対にだからのアニメ化なはずですが。

と言って、あの時に続けて実写でこれを作ったら蛇足になった気がしてならない。

そしてこれから先、彼女達の話がこれ以上作られるのも世界を壊すとしか思えない。

柔らかい世界に住む二人を久しぶりに見て、変わらないなあと懐かしくも思いながらも。

その世界が完全に閉じられて、大切な場所に仕舞われた感じもしました。